局長 渡邉謙吉
監査事務局 局長 庄司秀人
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本日の会議に付した事件
認定第一号 令和三年度世田谷区
一般会計歳入歳出決算認定
認定第二号 令和三年度世田谷区
国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第三号 令和三年度世田谷区
後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定
認定第四号 令和三年度世田谷区
介護保険事業会計歳入歳出決算認定
認定第五号 令和三年度世田谷区
学校給食費会計歳入歳出決算認定
(総括説明、総括質疑)
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午前十時開議
○宍戸三郎 委員長 ただいまから
決算特別委員会を開会いたします。
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○宍戸三郎 委員長 本日から、当委員会に付託されております令和三年度決算認定五件の審査を行うわけでありますが、さきに決定しております運営方針に基づき、また、
新型コロナウイルス感染症への対策についても十分講じた上、委員会を運営してまいりますので、委員並びに理事者の皆様の御協力のほどをよろしくお願いいたします。
さて、本日は、まず区長より挨拶をしていただき、引き続き政策経営部長より総括的な説明を受けた後、各会派の質疑に入ります。
それでは、区長の挨拶をお願いいたします。
◎保坂 区長 おはようございます。
決算特別委員会の開催に当たりまして、御挨拶を申し上げます。
本日より令和三年度世田谷区各
会計歳入歳出決算について御審議いただくわけですが、令和三年度の決算状況は、歳入では、特別区税や特別区交付金が増加したものの、特別定額給付金に係る国庫支出金の減額に伴いまして、前年度比では減となりました。歳出では、
新型コロナウイルス感染症関連経費などが増加したものの、特別定額給付金による減額が上回り、前年度比で減となりました。
財政健全化判断比率につきましては、令和三年度におきましても引き続き健全な状況を維持いたしましたが、
新型コロナウイルス感染症やエネルギー価格・物価高騰による区財政への影響が懸念される中、将来を見据えた持続可能な財政運営に今後とも取り組んでいくことが重要だと考えています。
決算状況の詳細につきましては、この後、政策経営部長より説明させていただきます。本委員会の御審議の中で、委員の皆さんからいただく御意見、御提案につきましては今後の区政運営に生かしてまいりますので、どうかよろしくお願いします。
本日より、長期間にわたる委員会となりますが、委員の皆様におかれましては、体調に御留意いただきながら御審議いただき、認定賜りますようお願い申し上げて、御挨拶といたします。
○宍戸三郎 委員長 以上で区長の挨拶は終わりました。
次に、政策経営部長より説明をお願いいたします。
◎加賀谷 政策経営部長 おはようございます。令和三年度世田谷区各
会計歳入歳出決算の概要につきまして、「世田谷区各会計主要施策の成果」に沿いまして御説明をいたします。データのほうを御覧いただければと思います。ページ番号につきましては、データ右上に付番しております数字のほうで説明いたします。
まず初めに、七ページを御覧ください。こちらは令和三年度の財政運営の概要についての御説明でございます。令和三年度は、
新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、地域経済の動向は予断を許さない状況が続く見通しの下、特別区税や特別区交付金の減収による財源不足が生じることが見込まれる厳しい財政運営となりました。こうした中、令和二年度後半から令和三年度における区政運営の指針として定めた世田谷区政策方針の下、区民生活の安全と安心を守り抜くための施策を最優先に、福祉、教育、災害対策などの基本計画に掲げる施策の推進、急速に進化するICT技術や区民生活の変化を踏まえた事業手法の転換や区民の利便性向上を目指す自治体DXの取組などにより、
新型コロナウイルス感染症防止対策と将来につながる施策の両立を図るために、補正予算と連動させた複数年による予算編成を見据え、取り組んでまいりました。
令和三年度の一般会計当初予算額は、歳入面では、特別区税は年度前半の
リーマンショック時を超える急激な景気後退局面から、その後の緩やかな経済活動の回復や人口動向等を踏まえ、前年度比で減収を見込み、特別区交付金においても、景気動向や税制改正における地方法人課税の見直しの影響などにより、前年度比で減額といたしました。
歳出面では、令和二年度補正予算と連動させた
都市基盤施設整備に係る工事の前倒しや、公共施設整備、
保育施設整備経費などが減となりました。
これらにより、一般会計当初予算額は三千百九十九億八千九百万円、前年度当初予算比で七十七億四千五百万円、二・四%の減となりました。
その後も、保健所・
PCR等検査体制の強化や三回目の
ワクチン住民接種事業など、感染拡大防止に係る喫緊の課題への対応に加え、地域経済の動向を踏まえた特別区税、特別区交付金の上方修正など、八次にわたる補正を行った結果、令和三年度の
一般会計最終予算額は三千七百八十三億五千六百万円となりました。
それでは、一般会計の決算についての御説明でございます。八ページを御覧ください。決算額などの金額につきましては百万円未満を四捨五入した概数で申し上げますので、御了承ください。
第1表、
一般会計実質収支前年度比較を御覧ください。区分の欄上段、丸Aと表記しておりますが、令和三年度の歳入総額は三千七百六十五億七千九百万円、前年度比一二・一%の減となっております。その下、丸Bの歳出総額は三千五百六十七億六千二百万円、前年度比一三・二%の減となっております。この結果、丸Cの歳入歳出差引額は百九十八億一千七百万円となり、これから、丸Dの翌年度へ繰り越すべき財源を差し引きました丸Eの実質収支は百七十億一千百万円となってございます。また、実質収支から前年度の実質収支を差し引きました丸Fの単年度収支は三十億七千五百万円となり、丸Gの
財政調整基金積立て額七億一千七百万円を加えました丸Jの実質単年度収支は三十七億九千二百万円となりました。
次に、九ページを御覧ください。第2表、
一般会計歳入決算前年度比較についての御説明です。この表ですが、款別の歳入決算を前年度と比較したものとしてございます。
歳入における主な減項目ですが、13の国庫支出金が特別定額給付金の給付に係る補助金の減などにより六百八十七億六千百万円、四四・八%の減、20の特別区債が玉川総合支所・
区民会館改築工事費の減などにより六十八億三千二百万円、七七%の減などとなっております。一方、主な増項目としましては、9の特別区交付金が財源である
市町村民税法人分の増収などにより百十億八千八百万円、二二・七%の増などとなってございます。
次に、一〇ページを御覧ください。第3表、
一般会計歳入決算財源構成ですが、この表の下から二行目の合計欄を御覧ください。一般財源の構成比が六一・九%、特定財源が三八・一%となってございます。
続きまして、一一ページの第4表、令和三年度都区財政調整結果でございます。こちらにつきましては、既に議会に御報告させていただいておりますので、こちらでは省略させていただきます。
次に、一二ページを御覧ください。第5表【A】
一般会計歳出決算前年度比較について、歳出の主な減項目としましては、2の総務費が
特別定額給付金給付事業費の減などにより八百六十九億六千七百万円、七二・三%の減、11の諸支出金が
財政調整基金積立金の減などにより四十三億六千六百万円、八五・七%の減、7の土木費が道路用地・
公園用地取得経費の減などにより四十二億六千九百万円、一三・四%の減となっております。
一方、主な増項目ですが、3の民生費が子育て世帯及び
住民税非課税世帯等への
特別給付金給付事業費の増などにより百五十九億三千八百万円、一一・一%の増、5の衛生費が
ワクチン住民接種事業をはじめとする
新型コロナウイルス感染症関連経費の増などにより百四十二億六千九百万円、一四二・三%の増、10の公債費が満期一括償還による償還元金の増などにより六十七億八千万円、一二六・七%の増、8の教育費が
小・中学校施設改修工事費の増などにより二十九億九百万円、一一・一%の増となっております。
続いて、一三ページを御覧ください。第5表の【B】ですが、第5表【A】の9職員費を関係各款に割り振り直した表で、令和三年度の各款別の構成比は、3の民生費が四九・九%と最も高く、続いて、2の総務費が一四・四%、8の教育費が一〇・七%、7の土木費が九・一%の順となってございます。
次に、一四ページ、第6表を御覧ください。こちらは令和二年度から令和三年度に繰り越しをした事業の執行状況を示したものでございます。繰越明許費は、
私立幼稚園指導助成から、一六ページに進んでいただき、民家園維持運営までの八十五事業、事故繰越しは、
スポーツ施設改修工事から地区計画策定までの三事業となっており、繰越額等は記載のとおりでございます。
次に、一七ページにお進みください。第7表でございます。こちらは令和三年度から令和四年度へ繰り越しをした事業と金額を記載してございます。繰越明許費は、システム開発及び改善から、一八ページに進んでいただき、
郷土資料館改修工事までの五十事業、事故繰越しは、
公共施設整備事業から公園・身近な広場維持運営までの五事業で、繰越額は合計で百三十四億四千六百万円となってございます。
次に、一九ページを御覧ください。第8表、
一般会計歳出決算性質別内訳でございます。人件費、行政運営費及び投資的経費の区分による決算額、構成比等は、記載のとおりでございます。
次に、二〇ページを御覧ください。第9表は、各特別会計の決算収支について記載したものでございます。まず、
国民健康保険事業会計ですが、歳入総額が八百二十六億九千二百万円、前年度比で二十八億四千二百万円で三・六%の増となり、歳出総額については八百十五億二千四百万円、前年度比二十八億六千二百万円、三・六%の増となってございます。
次に、
後期高齢者医療会計ですが、歳入総額が二百二十億三千三百万円、前年度比四千二百万円、〇・二%の増となり、歳出総額は二百十三億八千七百万円、前年度比八千九百万円、〇・四%の増となってございます。
次に、
介護保険事業会計ですが、歳入総額が七百十三億五百万円、前年度比一億五千万円、〇・二%の減となり、歳出総額は六百八十二億八千百万円、前年度比七億四千六百万円で、一・一%の減となってございます。
最後に、学校給食費会計ですが、歳入総額が二十八億三千八百万円、前年度比四億九千七百万円、二一・二%の増となり、歳出総額は二十七億七千二百万円、前年度比四億七千四百万円、二〇・六%の増となってございます。
以上が令和三年度財政運営の概要についてでございます。
続きまして、主要事業の説明をいたします。二三ページを御覧ください。
こちらから、世田谷区の主要事業の進捗につきまして、平成三十年度より導入しました新公会計制度を用いて分析、評価をした結果を掲載してございます。中段の「1 重点政策の総括と今後の政策展開」において、(1)子ども若者が住みたいまちづくり、教育の推進をはじめ、六つの取組に係る課題と今後の政策展開を概括して記載してございます。
二四ページを御覧ください。中段の「2 施策事業の総括」、(1)成果指標の達成状況に記載しておりますとおり、令和三年度は、新実施計画事業における全百六十九の成果指標のうち、目標を一〇〇%以上達成できたものについては五十八指標にとどまってございます。
二五ページを御覧ください。(2)コスト面に関する評価に記載しましたとおり、全体的な評価としましては、
GIGAスクールの各種機器導入に係る収支額の大幅な減の一方で、せたがやPayの普及拡大等に係る商業・産業支援経費のコストが上昇いたしました。このような点が令和三年度の主な特色となってございます。
その下の(3)今後の方向性ですが、各事業所管課は、事業手法の転換など創意工夫によりできる限りの取組を継続してまいりましたが、コロナ禍における事業活動や施設利用の制限により実績が伸びず、成果指標の達成数が全体の三分の一にとどまる結果となってございます。
令和四年度から始まりました未来つながるプランにおきまして、区の活動による結果を示す行動量から直接的な効果が生じるアウトカムを成果指標として設定をしてございます。事業効果が見える評価、分析の視点で、目標達成に向けた取組を推進してまいります。
次に、二八ページを御覧ください。こちらに記載の各項目は、平成三十年度から令和三年度までを計画期間とした世田谷区新実施計画(後期)の分野別政策に基づく取組で、令和三年度決算の執行実績について説明をいたします。
まず、基本計画の分野別政策のうち、「1健康・福祉」でございますが、決算額が二十一億六千九百万円、執行率は九五・九%となっております。この分野別政策に基づく取組としましては、生涯を通じた一人ひとりの健康づくりの推進以下十二事業でございます。
次に、中段、「2子ども若者・教育」でございます。決算額が六十四億六千万円、執行率は九四・一%となっております。この分野別政策に基づく取組としましては、若者の交流と活動の推進以下十三事業でございます。
三〇ページを御覧ください。「3暮らし・コミュニティ」でございます。決算額が六億六千百万円、執行率は八一・六%となっております。この分野別政策に基づく取組としましては、豊かな地域社会づくりに向けた区民による参加と協働のまちづくり以下十五事業でございます。
次に、下段の「4都市づくり」でございますが、決算額が二十九億四千八百万円、執行率は六四・七%となっております。この分野別政策に基づく取組としては、
木造住宅密集地域の解消以下十四事業でございます。
以上の結果、三二ページに合計欄を記載してございますが、新実施計画事業の合計決算額は百二十二億三千九百万円、執行率は八四・四%となっております。
次に、三九ページを御覧ください。三九ページから七八ページにわたりまして、基本構想に掲げる九つのビジョンの実現に向け選定いたしました六つの重点政策について、それぞれ政策目的、政策の成果、成果の達成度に対する評価等を記載してございます。
三九ページの「重点政策1子ども若者が住みたいまちづくり、教育の推進」でございます。
次に、四三ページを御覧ください。こちらの下段の3)成果の達成状況に対する評価及び今後の政策展開を御覧ください。こちらにつきましては、各成果指標の達成状況、各取組みの達成状況、四年間の総括及び今後の政策展開を記載してございます。主な取組としましては、保育待機児童ゼロの継続、子ども・子育てつなぐプロジェクトの充実、子どもや若者の活動支援、支援が必要な子どもへの総合的な支援、質の高い教育の推進などに取り組んだところでございます。取組に対する評価は記載のとおりとなってございます。
次に、四六ページを御覧ください。こちらは「重点政策2高齢者・障害者等の在宅生活を支え、孤立させないための
地域包括ケアシステムと住まい」となってございます。
五二ページに進んでいただきまして、主な取組でございますが、
地域包括ケアシステムの推進、身近な地区における相談窓口の充実と参加と協働による地域づくり、福祉人材の育成・拡充などに取り組んでございます。
次に、五四ページを御覧ください。「重点政策3安全で災害に強いまちづくり」でございます。
五八ページに進んでいただきまして、主な取組といたしましては、住民の力で被害の拡大を防ぐ、防災意識が根づいた
地域コミュニティづくり、不燃化や耐震化、豪雨対策等の住民、事業者との協働による推進、道路、公園等の計画的かつ効率的な整備による災害に強い街づくりなどに取り組んでございます。
次に、六〇ページを御覧ください。こちらは「重点政策4自然の恵みを活かして小さなエネルギーで暮らす豊かなまちの実現」でございます。
六五ページに進んでいただきまして、主な取組としましては、区施設における
再生可能エネルギー導入及び自治体間連携の推進、ごみの削減に関する普及啓発の実施、区民、事業者との協働による豊かなみどりの環境づくり、たばこマナーの向上等による清潔できれいなまちの実現などに取り組んでございます。
次に、六七ページを御覧ください。「重点政策5世田谷の文化の創造と知の
ネットワークづくり」でございます。
七一ページに進んでいただきまして、こちらを御覧いただきまして、主な取組としましては、区民が生涯を通じて学び、文化・芸術・
歴史に親しめる環境づくり、知と学びと文化の情報拠点としての図書館の充実、だれもがスポーツに親しめる機会の創出などに取り組んでございます。
次に、七三ページを御覧ください。「重点政策6豊かな
コミュニティ活動の発展と住民自治の推進」でございます。
七七ページを御覧いただきまして、主な取組としましては、地域活動への参加を促進するための環境づくりと区民や事業者による協働の促進、地区街づくりの推進、男女共同参画と多文化共生を推進する地域社会づくり、職住近接に向けた産業基盤の強化と多様な働き方の推進などに取り組んでございます。
次に、八八ページを御覧ください。八八ページから三七六ページにわたりましては、分野別政策に基づく各新実施計画事業の取組と実績などについて記載をしてございます。
九一ページを御覧ください。九一ページは、新公会計制度を活用しました財務分析の項目を掲載しております。中ほどの財務関連データの
①行政コスト計算書では、人件費や減価償却費を含めましたフルコストの財務情報をお示ししてございます。
九二ページにお進みいただきまして、行動量の
単位あたりコストでは、
事業実施単位当たりのコスト算出によるコストと成果の関係性をより明確にしてございます。経年比較ができるよう、四か年の
単位当たりコストを並べて掲載をしております。内容につきましては後ほど御確認をいただければと思います。
続きまして、大分飛びますが、三七八ページを御覧ください。こちらから三八九ページにわたりましては、重点政策と新実施計画事業の各成果指標の達成状況を掲載してございます。
主要事業の説明につきましては、以上でございます。
最後ですが、三九五ページを御覧ください。三九五ページ以降は、予算の執行実績につきまして記載をしてございます。各会計の決算総括をはじめ、歳入歳出の詳細な決算状況を記載してございますので、後ほど御確認をいただければと思います。
以上で、令和三年度世田谷区各
会計歳入歳出決算概要の説明を終わります。御審査のほどよろしくお願いいたします。
○宍戸三郎 委員長 以上で政策経営部長の説明は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午前十時二十六分休憩
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午前十時四十分開議
○宍戸三郎 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
これより総括質疑に入ります。
質疑者はネームプレートを質疑者席にお持ちいただくようお願いいたします。なお、持ち時間の終了五分前には予鈴と質疑者席の緑ランプの点灯でお知らせいたします。さらに一分前には赤ランプの点滅でお知らせいたします。また、質疑される委員の方は、マイクから離れ過ぎないようお願いいたします。
続いて、理事者の皆様に申し上げます。答弁は簡潔、明瞭にお答えいただきますようお願いいたします。また、決算運営委員会において、やむを得ない場合は、理事者が席を離れることを認めると確認されておりますので、御無理をなさらないでください。
それでは、総括質疑を始めます。
自由民主党、どうぞ。
◆おぎのけんじ 委員 自民党の総括質疑を始めてまいります。
今朝は、私の大好きなヤクルトの村上選手が、昨日、三冠王が確定をして、しかも、五十六号を最終打席で打ったというニュースで、大変晴れがましい気持ちで過ごしていたんですけれども、そこに北朝鮮のミサイルのニュースが入ってきまして、暗たんたる気持ちになってしまったんですが、Jアラートと、それに伴って、報道機関の情報がテレビの全チャンネルで流れていましたけれども、そこで青森だとか、北海道の方々は地下施設に避難してくださいみたいなことが書かれてあったんですが、それを見ていて、これが仮に世田谷区というか、東京都心とかになった場合、どうするんだろうかということですね。
先日、小池都知事が東京都の人口に対する地下避難施設のキャパシティーを満たしたみたいなことが報道されていましたけれども、世田谷区の場合、用賀駅、桜新町駅だとか、あとは区民会館のようなところが指定されていたんだと思いますが、今日みたいに七時二十分とか、そういう時間帯ですと、区民会館というのは通常開いていないと思うんですけれども、そういう場合とかはどういうふうな対応をするかみたいなシミュレーションというのは今、世田谷区の中でされているのか、ちょっと教えていただけますか。
◎大塚 危機管理部長 緊急一時避難施設については、先日、区内での施設の指定が拡大をされております。実際、施設が開いていないというような場合もあろうかと思いますが、その際は、まずは御自宅の中でも窓から離れるだとか、そういうようなことで避難行動をしてほしいということで国のほうからは周知をされていますので、そういうようなことについて、区としても、そういう施設が開いていない場合の避難行動について広く周知していきたいというふうに考えております。
◆おぎのけんじ 委員 そうですよね。今回みたいな時間帯に起こったときに、例えば学校はどうするんだとか、あるいは、こういう議会日程とかはどうするんだみたいなこともあるかと思いますから、それは我々議会側も考えなきゃいけないと思いますけれども、かなり頻発に撃ってきていますから、対岸の火事ではないと思いますので、あらゆることを想定して、よろしくお願いしたいと思います。
では、質問に入ります。今回、決算資料の中の主要施策の成果という資料、行政評価ですけれども、この件に関しては、私は毎年何かしら指摘をしてきました。目標設定の仕方ですとか、評価の仕方、あるいは評価タイミングの遅さ、達成のできなさ、もうやめたらどうですかということまで含めて、手を替え品を替え言ってきたつもりですけれども、私以外にも、立憲にいた風間さんとか、この間の予特では大庭委員も大分厳しく追及されていましたけれども、まさに各会派の垣根を越えて駄目出しがされてきた代物だと思いますが、一向に変わってきませんね。
昨年の決算への意見で、私は会派を代表して次のように述べています。ちょっと読み上げます。令和二年度の新実施計画事業の達成率が三五%、その前の令和元年度が達成率四四%、平成三十年度は五五%であり、毎年順調に一〇%ずつ達成率が低下しています。目標設定自体の妥当性に問題があるにせよ、毎年一〇%達成率が下がり続けているという事実が、行政評価が何ら区政運営の役に立っていないということのあかしであります。このような作業を来年度以降も本当に続けるのか、区として真剣に検討するよう求めておきますと。
今回の令和三年度ですけれども、一〇%ずつ下がるというトレンドは免れたものの、三四%ですね。一%また落ちた。これは多分、過去ワーストだと思います。この三四%という数字、まずこの数字が異常、そして、この数字を異常だと思っていない世田谷区行政がもっと異常。片や令和三年度予算の執行率は九〇・八%なんですね。ですから、平たく言えば、与えられたお金は九割方使っちゃいましたけれども成果は三割四分しか上がりませんでしたということですよね。要は壮大な無駄遣いがずっと行われ続けてきているわけですよ。以前、小泉委員が議会で区民は役人を選べないとおっしゃっていましたけれども、けだし名言だと思います。我々の税金が使われるだけ使われて三割しか成果が出ない。これは一区民として実に情けない。もうちょっとしっかり仕事をしてくれよと本当に思いますよ。
この数字の責任者は区長ということですから、二点お聞きしますけれども、区長は、率直にこの三四%の数字をどう捉えていらっしゃるのか。そして、今年度、もう下半期に入っちゃいましたけれども、達成率は何%を目指しますか、簡潔にお答え願います。
◎保坂 区長 まず御指摘のとおり、四年間の新実施計画後期の期間を通して、最終的に目標を一〇〇%達成した成果指標数が全体の三分の一にとどまったことについては、コロナ禍が続いたという予測不可能な状況を入れても大幅に目標に達していない結果となり、誠に申し訳ないと感じております。
そこで、高齢者の疾病状況等の関係もありますが、退職後の健康診断だとか、それから予防的な対応措置だとか、そういったことを含めてどのようになっているのかということで、まず世田谷区役所の中で、再雇用、再任用職員だとか、定年延長職員、会計年度職員の健康診断の実施はどのように行われてきたのかということについてお聞きしたい。
◎池田 総務部長 職員の健康診断につきましては、労働安全衛生法に基づきまして、常勤、非常勤の区別なく、全ての職員を対象に実施しているところでございます。この取扱いに、今般の職員の定年年齢の引上げによる影響、変更はございません。区で任用されている期間については、全ての職員を対象に継続的な健康管理を実施しております。また、健診の結果、何らかの所見が確認される職員は毎年千人程度おりますけれども、産業医がその内容を全て確認し、より詳細な検査を受けるよう促したり、事後フォローを行うなど丁寧な対応を行い、職員がより健康に公務に従事することができるよう取り組んでいるところでございます。
このたびの定年引上げのほか、令和二年度の会計年度任用職員の制度導入時の年齢制限の撤廃なども踏まえまして、職員が健康で安全に、また安心して長く働き続けるために健診を実施し、また、これを職員が受診することは重要であり、引き続き、働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、受診の徹底を求めてまいります。
◆羽田圭二 委員 その視点で、ぜひ区内といいますか、区の職員に対しての対応はそのようにしっかりやっていく必要があると。
一方で、区内の企業ですよね。中小企業等が一番多いわけですが、それらの状態はどうなっているのかという問題があるかと思います。健康診断の受診率の現状だとか、それから健康診断を受けられるようにしていくというそうした啓発、それらはどのような対応を図られているかお聞きしておきたいと思います。
◎後藤 経済産業部長 まず、健康診断の受診率等でございますが、二年度に区が実施した調査では、調査対象となった正規職員の約九割は定期的に健康診断を受けていると回答があったのに対しまして、アルバイトを含むパートタイマーでは約六七%にとどまっている現状がございます。また、制度面につきましてですが、定年延長に関連した昨年度の国の調査では、六十五歳以上あるいは七十歳以上の方が働ける制度について、総じて大企業より中小企業のほうが多く制度化されている傾向が見受けられ、区内でも多くある中小企業の高齢化がますます進行しているものと認識しているところでございます。
これに伴い、お話しの健康診断をはじめまして、高齢者の方が働きやすい労働安全、衛生環境、福利厚生の充実はますます重要になってきているものと考えております。現在、区では、単独での福利厚生制度の充実が困難な中小企業を対象としたセラ・サービス事業を産業振興公社で実施しており、健康診断への補助をはじめ、多くのメニューを御用意してございます。
今後もこうした制度の周知啓発に加え、区内中小企業の福利厚生制度の実態をヒアリングするなど、世田谷区地域経済の持続可能な発展条例に掲げます誰もが自己の個性及び能力を発揮することができる働きやすい環境の整備に向け、区内事業者を支援してまいります。
◆羽田圭二 委員 ぜひ中小企業のそうした支援も含めて、継続していただきたいと思います。
もう一つ質問がありましたが、時間が参りましたので、桜井委員に代わります。
◆桜井純子 委員 私からはまず、新しくできました障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例、この条例に関わりまして、国連の勧告について少しどのように取り組んでいくのかということをお伺いしたいと思います。
勧告の中でも、委員会の中でも取り上げられました津久井やまゆり園の事件ですね。この事件の中で様々な原因が言われていますけれども、施設の在り方を問う、施設生活が問われるというようなお話もあります。津久井やまゆり園のような大人数の障害者が一緒に暮らし続ける暮らし方というものが、そもそも自由意思の選択によるものなのかということです。本来でしたら、地域で自分らしく暮らしていくことを社会が、そして国が保障して支えていかなくてはならないけれども、障害があるということ一点で施設生活というのが強いられてきた歴史があります。その中には、優生思想や能力主義社会というものがあって、その考え方、その思想が障害者の方々を施設に追いやってきたのではないかというふうに感じています。
今回の勧告の中にも、例えば脱施設を目指すべきだということが強く厳しく勧告をされているということなどを考えていくと、これから地域共生社会をつくろうという条例をこの時期につくった世田谷区が、どのように障害者の方々の地域生活を考えていくのかということが問われると思います。
例えば、世田谷区は長期入院をしている障害者の方々を地域生活に移行していこうということを掲げて取組を進めてきています。また一方で、条例素案に対するパブリックコメントの中で、障害者の方々だと思いますけれども、障害者の地域生活の継続に関する条文に関して、これは十五条ですけれども、この条文に対して、グループホームや通所施設を特に取り上げていることに疑問を呈されているという側面があります。
この十五条ですけれども、まず初めに、親亡き後の対策というところで、条文の中には書かれているわけですけれども、親亡き後の対策、問題というのは、親いるときの問題ではないかと私は思っています。親がいようがいまいが、障害者の方々が個人として自分らしく人権を尊重されて地域で暮らす、これをやり抜く。そして、その中の選択に、もしも一緒に暮らしたいというものがあるのだとすれば、グループホームなども選択肢に入るのだとは思いますけれども、でも、世田谷区は二十四時間の介助を受けながらひとり暮らしをしている障害者の方々、そしてその障害者の方、重度の障害者ですけれども、十八人に増えてきているんですね。少しずつですけれども増えています。
そして、私も友人の中に、そういう暮らしをしている障害者の方がいらっしゃいますけれども、その方は車椅子の生活ですが、ストレッチャーみたいな道具を使いながら暮らしている方もいらっしゃるということを考えたときに、国連の勧告と条例の文章というのが前後したということもありますけれども、世田谷区は障害者の地域生活をどのように考えていくのかということの議論を改めてスタートする必要があるのではないかと思っています。
まずお聞きしますが、区は障害者の自立生活について、どのような考えを持っていらっしゃるのか、お聞きします。
◎須藤 障害福祉部長 先日、本会議のほうで御議決をいただきました世田谷区障害理解促進と地域共生社会の実現をめざす条例のほうでも、今回、障害の社会モデルの考え方を基本とするというところで、誰もが地域で自分らしく生活できる地域共生社会の実現を目的にしております。そうした中で、障害者の地域生活の継続のために必要な施策を講ずることというふうにさせていただいております。
この間、区では、地域生活の継続、それから地域移行に必要な施設というようなことでグループホーム、それから通所施設等の整備を掲げまして、不足している状況も踏まえて長期的な視点で順次取組を進めております。そうしたことを新たな条例のほうには反映をさせていただいていたものでございます。
御質問の考え方の部分ですけれども、地域での生活は、それぞれのライフステージによって家族との暮らし、それからアパート等でのひとり暮らし、それから友人、知人との共同生活、グループホームといったところ、こういったものの様々な選択肢がちゃんとあって、当事者の方がその意思で選択できるべきもの、これが基本であるというふうに考えてございます。
区は、こうした当事者の方の自立生活を基本とした地域生活の継続を支援していけるように、今後も取組を進めていきたいというふうに考えてございます。
◆桜井純子 委員 この勧告に対して、区長はどのように考えますかということを一般質問でお聞きさせていただきました。そのときには、勧告を重く受け止めるということをおっしゃっていて、そして世田谷区の中でも障害者権利条約の合言葉「私たちのことを私たち抜きで決めないで」という、その言葉もしっかりと受け止めながら、インクルーシブ教育、地域共生社会の実現に全力を挙げるというふうにおっしゃっていました。本当にその方向で進んでいっていただきたいと思います。
そして、この地域生活の問題ですけれども、グループホームなど施設というものが色濃くこの条例の中に書かれているということに対して、当事者の方々を含めて懸念が表されているわけですけれども、この一点だけではなくて、勧告で指摘されていることというのを条例と照らし合わせると、まだまだ早速区に取り入れていかなくてはならない部分、これはもう致し方ないですね。あると思います。このことについてどのようにお考えになるのか、お聞かせください。
◎須藤 障害福祉部長 今回のこの条例ですけれども、これまでの区の取組と現状を踏まえまして、今後の施策の考え方、こうしたものを整理させていただいて、令和六年度からの次期のせたがやノーマライゼーションプランの施策展開の基礎としていくことを考えてございます。そうした中、先月、お話しの国連の障害者権利委員会からの日本政府への障害者の自立した生活と例えば地域社会への参加、それからインクルーシブ教育、こういった内容の勧告が出されまして、区としても検討を必要とする大切な視点が多く含まれているというふうに考えてございます。
この勧告の内容について、今回の条例の中で考え方が反映しているものも一部ございますけれども、一方で勧告が出されたタイミングの関係で、今回の条例には反映できていないというものもございます。今後、次期ノーマライゼーションプランの検討の中で、こうした国連からの勧告について十分考慮した上で国や東京都、他自治体の動向も踏まえながら条例への反映を検討してまいりたいというふうに考えてございます。
◆桜井純子 委員 今回の勧告の中で繰り返し出されてきたキーワードがあります。それは人権モデルというキーワードで、医学モデル、そして社会モデル、そこから人権モデルということで、障害者を捉える、その捉え方が私たち障害があるかないかにかかわらず、全ての人という視点に広がってきているということも踏まえて、ノーマライゼーションプランの改定というのは目指されていくべきではないかなというふうに思っておりますので、ぜひその点も考慮に入れて検討していただきたいと思います。
そして、このノーマライゼーションプランなんですが、この改定が行われるたびにいろいろと意見を聞くんですけれども、今この時点でインクルーシブな社会を目指すというように、社会が障害ということをキーワードに様々な考え方が広がってきている中、変わってきている中で、ノーマライゼーションということが本当に世田谷区がつくったこの条例の理念、医学モデルから社会モデル、そして人権モデルへと今伝えさせていただきましたけれども、そこに向かっていく中で、このプランの名前、これが本当にしっくりくるのかということを考えています。ぜひ次期のノーマライゼーションプランの名称は、インクルーシブや地域共生社会、これを考慮した命名ということを私は求めたいと思いますけれども、区はどのようにお考えになるでしょうか。
◎須藤 障害福祉部長 今回の案件というか、計画の名称ですけれども、平成五年に国のほうが障害者対策に関する長期計画を策定しまして、その中にリハビリテーション、それからノーマライゼーションという理念の下、完全参加と平等という目標に向けて推進することとされておりました。区のほうでは、ノーマライゼーションの理念が社会的に広まっていく中で、世田谷区障害者施策推進協議会からの御提言もいただきまして、平成七年に策定いたしました第二次の障害者施策行動十カ年計画、こちらの名称をせたがやノーマライゼーションプランとさせていただいたものです。
お話にありました次期令和六年からの計画についてですけれども、今回の条例を基礎として施策を展開するということを検討する予定でありまして、お話しのようなインクルーシブな部分、それから障害者の社会モデル、それから今いただいたように人権の部分、こういったものを考えて踏まえていくようにしていかなきゃいけないということがありますので、名称につきましても、そうした観点で関係の方からも含めまして御意見をいただいて検討していきたいというふうに考えてございます。
◆桜井純子 委員 ノーマライゼーションプランのこの名称をつけたときにもいろいろな議論があって、今度目指していくのはそこだろうということで、先を見越してつけられた名前だと思います。そのことを議論してきた先輩たちに、本当に尊敬の念を持つとしたら、そこからまた私たちはどう発展するかということが問われていくと思います。
リハビリテーションとノーマライゼーションという言葉がありましたけれども、リハビリテーション、まさに医学モデルに立っているということもございますので、ぜひこの名称を、条例を制定したということを契機に、そしてこの国連の勧告をしっかりと受け止めた自治体であるということも含めて考えていただくことが、やっぱり中身にも影響していくのではないかなと思っていますので、お願いをしたいと思います。
そして、この質問の最後に、インクルーシブな視点に立ったまちづくりということを少しお聞きしたいと思います。福祉保健常任委員会で視察をしてきた石川県白山市、ごっちゃプロジェクトというものを見てきましたけれども、これも委員会の中でも時々お話もさせていただいたりしていますが、このインクルーシブなまちづくり、障害がある人もない人も一緒に働き、そして一緒に遊び、一緒にそこにぼうっとしていられる、そういう場所というのが本当に必要だなというふうに感じていて、その点についてもぜひ条例の理念を体現していく、見える形でつくり上げていくということで、どこかにそのモデル地域でもいいですし、つくっていただきたいと思っています。
そして、例えば大蔵団地の建て替えで障害者の方、高齢者の方の施設の開設が決まり、地域の方に開いた場所をつくろうということを考えていらっしゃいますけれども、例えばこういう大規模な建て替えなどに当たって、インクルーシブな場所づくり、まちづくりのそのお手本というものをつくっていくということ、それを意識したプランを検討するということができないかなと思いますが、将来的な展望はいかがでしょうか。
◎須藤 障害福祉部長 様々な状況や状態にある区民の方が地域で安心して暮らし続けていくためには、多様性が尊重されて、互いに価値観を認め合う地域共生社会の実現が求められております。地域には多くの方々が暮らす住まい、それから様々な商業施設や子ども、それから高齢者、障害者等の福祉施設、こういったものがございます。そうした中で、障害者の就労ですとか社会参加を容易にする環境が整備されていくことや、適切な合理的配慮があるというようなこと、それが多様性が尊重されるインクルーシブな地域づくり、こういったものに必要だというふうに考えてございます。
お話で、例示でちょっとありましたけれども、東京都住宅供給公社の大蔵住宅の建て替えに合わせて整備するということで、今回、そちらの高齢者・障害者施設のほうの御報告をさせていただきましたが、そちらには地域との交流できるスペースの提案というのが事業者のほうからございました。団地や周辺にお住まいの方々も利用できるよう、提案の実現に向けては、今お話しのあった点も含めて、住宅供給公社とも連携して事業者のほうに話をしてまいりたいというふうに考えてございます。
区としてですけれども、今回の条例を基に次期プランの検討の中で、官民連携も視野に区民、事業者、こういったところへの障害理解を進めまして、インクルーシブな地域づくりに必要な施策に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
◆桜井純子 委員 世田谷区にとって将来をつくっていくために本当に重要な条例ができたと思っています。この条例をどのように生かしていくのかということが問われていくと思いますし、その将来像というところに、本当に夢があってわくわくするようなものというものもすごく重要だと思いますので、まちづくり、全ての者に関わることだということで、全ての区民がこの条例を自分たちのものだと思えるようなプランを打ち出していただきたいと思います。
次に、災害対策・在宅避難についてお聞きします。
在宅避難の必要性というのが指摘されていますけれども、在宅避難に対する考え方というのがいろいろあるのではないかなというふうに懸念をする部分もございます。区は、これまで避難所運営というところを中心に災害対策に力を注いできたと思いますけれども、まず在宅避難の推進、これはなぜ掲げることにしたのか、お聞きします。
◎大塚 危機管理部長 在宅避難の推進でございますが、都の新たな被害想定で示された避難者数の予測や各地での発災時の状況を踏まえますと、収容可能人数を大幅に超える避難者が指定避難所に来るものと想定されまして、適切な避難所運営が困難となることが懸念されております。
避難所の密集を回避し、適切な運営を図るためにも、在宅避難を促す必要がございます。このため、地区ごとのインフラ等の被害状況に柔軟に対応し、適切に在宅避難を支援するための体制整備や在宅避難者への支援体制が整えられていることの周知、必ず指定避難所に行かなければならないという認識を払拭するための効果的な周知啓発活動の展開に取り組むものでございます。
◆桜井純子 委員 この災害対策を知るに当たって私が思うのは、在宅避難の方と指定避難所に避難してくる方々、その方々全てが被災者であるという視点で区は計画を立てていかなくてはならないのではないかと私は思っています。
それでお聞きしますけれども、避難所に入れないから在宅避難をしてください、避難所に来させないために在宅避難を推進するというのは大変危険な考え方ではないかなというふうに私は思うんですけれども、在宅避難ということを考えるときに、しっかりと区が公助の役割を放棄しないようなやり方、ベースというものをつくっていくことが必要だと思いますけれども、あるべき避難支援の理念をどのようにお考えか、お聞きします。
◎大塚 危機管理部長 理想といたします避難者支援の全体像と現在喫緊の課題として進めております取組には、大きなギャップがあることは認識しております。区としての理想を申し上げますと、指定避難所は避難所への避難者に対する支援にとどまらず、在宅避難者に対する支援の拠点として機能し、不安があるときはいつでも受け入れることができる状況を実現することが目指すべき姿であると考えております。
一方、これらを実現するための前提となる在宅避難のための各家庭の備えや公助としての在宅避難者支援が十分でないという現状がございます。このため現状では、この前提条件をクリアするための取組が主となっておりますけれども、まずはこれらの取組を着実に進めていきたいと考えております。
しかしながら、委員御指摘のとおり、目指す理念を明確に定め、誤った方向に進むことがないようにすることは重要でありまして、一連の取組の中でこの理念を明確にするための整理等を行ってまいります。
◆桜井純子 委員 先ほども申し上げましたけれども、在宅避難ということを考えるときに、世田谷区は公助というものを放棄しないということ、自助を強調するあまりに区民一人一人が萎縮してしまうような災害対策になってしまっては元も子もないと思います。指定避難所への避難、避難者への支援、そして在宅避難をしている方々の支援というのは、面的に広がっていくことが私は必要だと思いますけれども、その点に関していかがでしょうか。
◎大塚 危機管理部長 在宅避難の推進が在宅避難者を公助の対象から除くことを意味するものであってはならず、その点については委員御指摘のとおりであると考えております。個々の事情に応じた在宅避難の実現のための支援が行き渡るような支援体制の構築を目標に取組を進めてまいります。
◆桜井純子 委員 在宅避難の推進に当たっては、在宅、とどまることをしてくださいというのではなく、面的な災害対策をしっかりと提示した上で、在宅なのか避難所なのか、そしてそれを行き来してもいいと思います。そういう重層的な災害対策というのを早急に提示することを求めます。
それでは、質問者を替わります。
◆中村公太朗 委員 先日、インスタグラムを使った区のブランディングをすべきじゃないかというような質問をさせていただいたんですけれども、別にはやりに乗ったわけでも、インスタで発信することによる観光誘致みたいなことになるというふうに思っているわけでもなくて、世田谷区とは一体どんな地域なんだというイメージというんですか、ブランドみたいなもの、世田谷といえばみたいなものがまだまだ昔からずっと変わっていないんじゃないかなというふうに思うんですよね。そういう意味で言うと、戦略も発信もいまいちなんじゃないかなというふうに思っています。
世田谷といえばということで出てくるのは、大体緑が豊かで良質な住宅地だよねということですけれども、それはもう何十年も前から言われている話で、保坂区長に替わって十二年目ですか、もうそろそろ丸十二年が終わるかもしれませんけれども、確かに大きく予算の使い道を変えたり、サービスを変えたりはしていますけれども、果たしてそれが世田谷といえばというイメージにつながっているのかどうなのかなというのは、少し疑問がつくのかなというふうに思っています。
区長といえば、包摂の世田谷、手を差し伸べるんだみたいなことを言っていましたけれども、それが果たしてどれだけイメージとしてついているのかとか、子育てとか福祉には力を入れていますから、こうして議会の中にいると、比較的変化とか政策も分かりますけれども、果たしてそれが区民であったり、もしくはほかの地域の方々から、世田谷というのはどういう地域だといったときに、そういうイメージが果たしてついているのかどうなのかということについては、まだまだな部分なのかなというふうに思っています。
そういう意味で言ったら、やっぱり売りというものをもう少しこれまでとは違う部分でつくることで、言っちゃえば軽くなっちゃうんですけれども、世田谷というのはどういう地域になっていくんだ、外から見てもどういう地域が世田谷なんだというところをやっぱりストロングポイントとしてつくっていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですよね。
例えば、あくまで例えばですよ。世田谷というと、ほかの地域に比べてペットも多いと思うので、例えばペット政策がほかにないようなところに結構手厚くなって、それがほかのイメージ戦略になったとか、もしくは例えば松村副区長が来ていらっしゃいますけれども、DXについて、これはほかの地域も大分先行している地域もありますけれども、これだってもしかしたら売りの一つになっていくかもしれません。
松村副区長は、まずは庁内の業務効率とかシステムを変えるというところからスタートなので、区民サービスだったりとか、外向けの発信にはまずは出てこないと思うので、DXが売りになるのは少し先になるのかもしれませんけれども、もしくは世田谷区が何かの特区としていくとか、いずれにしても、これからの世田谷というのはこういう町にしていくんだ、こういう町だと思われる、誰が見ても、これは世田谷だよねと思われるような方向に、やっぱり特色として歩を進めるべきだと思うんですけれども、区長は一体この世田谷区にどんなイメージをつけていきたい、どういう世田谷区にしていきたいとお考えなのか伺いたいと思います。
◎保坂 区長 基本構想の下でつくった基本計画のキャッチコピーが「子どもが輝く参加と協働のまち せたがや」というのを掲げました。基本、子ども政策をしっかり進めるんだということを、さらに今、子どもは若干減る傾向がありますが、そこは強化していこうというふうに思います。
私、七年ほど前にアメリカのオレゴン州のポートランドに行ったときに、いろんな人に会い、町を歩いて市長にも会って、ここを一言で言えば、魅力ですね。やっぱり暮らしやすさなのかなというふうに、あちらからもそうだという答えが返ってきました。ちょっと平凡な言葉かもしれませんが、やっぱり暮らしやすいね、子どもを育てやすいよ、それから高齢になっても、いろんなものに脅かされたりせずに、大切にして地域の中でサポートがありますよと。その暮らしやすさというところをしっかり構築して、幾つかの住宅産業であるとか、あるいは自治体を比較するイメージアンケートみたいな、インターネットサイトで時々見ますけれども、住みたい自治体というところで言うと、関東圏とか東京の中で一位、二位、三位とか、上位に必ず入ってくるというところは、一応イメージ的にはあるのかなと。
ただ、その実態が住む前に思っていた世田谷と住んでみて、そこまできめ細かくあるのかというと、それはまだまだ課題があると思います。ですから、暮らしやすさと一人一人がそこで、松村副区長の言葉を借りれば、幸福度、幸福感を高めていくということがブランディングの、平凡かもしれませんが、方向になるのかなと思います。
◆中村公太朗 委員 そうですね。おっしゃることも分かるんですけれども、平凡というか、暮らしやすさは必ず追求しなきゃいけないと思うんですよね。暮らしやすくならない方向に行く自治体は多分ないと思うので、それはそれであれなんですけれども、やはり今言った人口の流れ、都会化している部分もあるし、一概に世田谷がこうだから人気があるということには多分直結しない部分もあるのかなと思うので、そういう意味で言うと、今おっしゃった中で子どもだとすれば、圧倒的に子ども政策をどんどん打ち出していくような積極性みたいなものが見えてこないと、やっぱりイメージにはつながってこないんだろうなと思います。
今日も給食費の問題がどうだとか、その代わりにこういう政策をしたらいいんじゃないかとかという話もありましたけれども、全部やったらいいんじゃないかなと僕は思うぐらい、子ども対策はやったらいいと思うんですよね。お金にしたって、これは我々の会派の手前みそになりますけれども、毎年、予算要望で八十億円程度のコスト削減も提案をしています。
毎年、反映されたものは除いていっても、今年度の予算要望で八十億円までありますから、仮にそれを全部取っていただいたら八十億円の財源が生まれると、我々の試算ではあるので、それであれば、先ほど言った二十億円の給食費と、それに満たない自民党さんが言った三つの施策もすぐできるという気もするし、とにかく、いずれにしても子どもの住みやすい、子どもを育てやすい、産みやすい町という形でブランディングをしていくのであれば、もう圧倒的にお金もアイデアもかけていくぐらいのことをしていっていただきたいなというふうに思います。
それから、あまり時間もないので、今、都議会も開会中ですけれども、太陽光パネルの義務化みたいな話が出ていて、区としても、公共施設、これは蓄電のほうと連動なのかもしれませんけれども、上にパネルを載っけるみたいなことをやっていますね。それは基本的に原発によらないエネルギーを活用していくということについては大変賛同するものなんですけれども、少しだけ懸念を言われているのが、やはり二〇三〇年から四〇年に最初に整備をされたパネルが寿命を迎えた後のごみ問題というか、リサイクルの問題ですよね。
いろんな分析がされていますけれども、パネルといってもメーカーによっても違いますし、様々なものでできているみたいですけれども、物によってはセレンとかカドミウムといった有害物質が入っていて、事業者側の抑制だったりとか、廃棄の際の対策とかというものも大分進んできたかとは思いますけれども、とはいってもまだ危険性が完全に払拭はされない中で、少し最近はまた太陽光パネルが注目を浴びたというか、また一気に増えるような状況の空気感があるので、警鐘を鳴らしておきたいなと思うんですけれども、世田谷区としては、大量廃棄を迎える時期に向けての対策とか対処とかというのは考えていらっしゃるんですか。
◎清水 環境政策部長 二〇五〇年に二酸化炭素排出実質ゼロに向け、太陽光発電等の導入は主要な施策でございますが、一方で、二〇三〇年代後半には太陽光パネルの廃棄の本格化が見込まれており、廃棄物処理まで考慮に入れることは重要と認識しております。
環境省では、平成二十八年三月に太陽光発電設備のリサイクル等の推進ガイドライン、また令和三年五月には、太陽光電池モジュールの適切なリユース促進ガイドラインを策定し、使用済み太陽光パネルの適正なリユース、リサイクル、処分の確保を提示しております。
区の公共施設に設置した太陽光パネルの解体、撤去の際は、まずは資源の有効利用のため、リユースを検討し、リユース品として扱えない場合は、メーカー等が公表している含有情報を踏まえ、有用な金属やガラスを回収できるよう、国のガイドラインに基づきリサイクルを行います。
最終的な処分に当たっては、委員御指摘のとおり、有害物質が使用されている太陽光パネルもあることから、適正な処理が求められております。区においても、廃棄物処理法に従い、専門事業者を通じ、地下水汚染対策がされている管理型最終処分場に埋め立てるなど、適正な処理を行います。引き続き、国や都の動向を注視、把握し、対応してまいります。
◆中村公太朗 委員 そうすると、今、区内にあるとかいうパネル自体に、むしろ公共施設でいいのかな、限った場合で、今言ったような有害物質が含有されているようなパネルがある可能性というのはあるんでしょうか。というのは、そこは要は契約の際に除外するような契約とか条件になったりはしていないのかしら、どうなのかしら。
◎清水 環境政策部長 その契約条件までは、現時点で私の手元に資料がございませんが、メーカーのほうで含有情報については把握しておりますので、処分の際はそこを確認しまして、適切な処理をしてまいります。
◆中村公太朗 委員 もちろん、メーカーは把握をされているんだけれども、実際に世田谷区の公共工事の上に載っかっちゃっている可能性も払拭できないんだとすれば、最終的には事業者責任ですよとは言い切れないような部分で解体が起きてしまったりとか、飛散をしてしまったりとかということがないように、区としても対応をちゃんと考えなきゃいけないんだろうと思うんですよ。それが体とか近隣の方々のとかということになりかねない部分もあるんだとすれば、なおさらだと思うので、その辺はしっかりと対応していただきたいなというふうに思います。
もう時間ないんですが、最後にしますけれども、コロナになって大分区のイベントを含む様々な取組が一旦停止をされていたりすると思うんですけれども、ビフォーコロナに、普通の生活もそうですし、こういった区の取組も戻らない部分というのもあるかと思うんですけれども、とはいえ一方で高齢者の方をはじめとした、そういう機会がなくなることによる様々な影響、弊害と言ってもいいのかもしれませんけれども、そういったものが起きているというふうにも聞くわけです。これを今後どうしていくか。
今、第七波、八波が落ち着いてきたのかどうなのかという解釈は分かれるかもしれませんが、今後徐々に再開をしていくのか。はたまた一旦また別の形で、コロナという感染対策を想定した上で、また新しい形でそういうサービスが実施をされていくのか、その辺、どうしていくつもりなのか伺いたいのと同時に、このコロナ禍において、一旦あるものがなくなってしまったことによる影響等が分析されているならば、その点を教えていただけますか。
◎向山 世田谷保健所長 今、いわゆる七波がピークアウトした状態でございます。ただ、まだまだ高止まっているという部分もございます。お尋ねのコロナ後の関連でございますが、一つは、先日、分科会の尾身会長がおっしゃったように、一挙にということはないにしても、ワクチンで一定の免疫が付与される、あるいは以前と比べれば軽症化であるとか、治療薬の承認とか幾つか選択肢も出てきているというところも含めて、いわゆるロードマップをきちんと示していく必要があるという話があります。
そういった中では、コロナ全体として、やはり感染症で最初は危機管理で目いっぱいということで、様々な制限を加えてはきましたが、それ以外のフレイルの予防ですとか、人との交流の中で保たれる心の健康とか、こういったものも感染対策を絞り込みながら徐々に元に戻していく、あるいは新たに創出するというような手法もあるかと思います。例えばオンラインの活用でございます。こういったところを総合的に勘案しながら、区としても総合的に施策を推進していきたいというふうに考えてございます。
◆中村公太朗 委員 ピンポイントの答えじゃなかったですけれども、ちゃんと影響を分析した上で、どういう影響が出ているのかを踏まえた上で、戻せるもの、戻せないものがあると思いますけれども、その辺、しっかりと区民の方々に影響が出ないように、戻せるものは戻していただきたいなというふうに思います。
以上で終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上で世田谷立憲民主党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後三時六分休憩
──────────────────
午後三時二十分開議
○宍戸三郎 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。
◆大庭正明 委員 今日は総括ということなんですけれども、他会派の質問の中で児童相談所、練馬の東京都がやるということに関して、世田谷区が自立して世田谷区独自でやるということについて、説明が不足している部分があったんじゃないかと思うんですよ。児童相談所の誘致というのは、保坂区政十二年の中で数少ない業績の一つだと思うんですね。
これは都立の東京都でやるという練馬のほうでは、ほかの権限は付随してこないんですよ。認可保育園の権限だとか調査とか、そういうことも含めると、これは自前というか、区で児童相談所をやることの意味は大きいと思うんですよ。そのことをなぜ言わないんですか。そういうことをちゃんと言わないと、せっかくの功績が分かんなくなっちゃうじゃないですか。それは一言言ったほうがいいですよ。
◎保坂 区長 御質問の文脈上、言いそびれましたが、今おっしゃったように、政令市ではない一般の自治体から政令市になった新潟市長、退職された後お話しした際に、政令市になって何が変わったか、児相が来たことだというふうにはっきりおっしゃっていました。今おっしゃるように、やはり自治体としての権限が格段に違いますという意味で、これは自治権の拡充の大きな一里塚でもあるというふうに考えております。
◆大庭正明 委員 最大の保坂区政の業績にも値するわけですから、そこのところは強調して言ったほうがいいと思いますよ。
それから給食の問題、私たちは会派の中としては、一番最後に給食の無償化を言いました。一番最初ではありません。最後です。というのは、我々の認識としては、一つには、これは六月定例会から申し上げたんですけれども、現在はどう認識するかというと、やっぱり戦時下にあるんではないかと。要するに、そういうことで、もちろん爆弾の戦争もあれば、経済的な制約というか、そういうものにおけるいろいろな意味での戦いというのが全世界に及んでいるわけです。
日本でも、もちろんいいことなんか何もないわけです。この戦争が起きたおかげで、いろんな方々が傷ついて、いろんな方々が生活の不便を感じているわけです。その例として、やはり物価の高騰、オイルが上がる。それからまた、円安ということも含めて、今回補正で一〇%、食費の補填をされたわけですけれども、それは今年の六月ぐらいまでの話であって、秋の値上げ、さらにまた来年の値上げ、まだまだ値上げが続くんですよ。
そういうことを補正で追いついてやるよりかは、この際、もう小学校で二四%ですか、中学校で三五%だったら、あまりクラスの中で払っている人、払っていない人とか何とか、そういうような変な差別というか区別をなくして、一律で面倒というか補償する。区のほうで補償するというふうに考えて、そこですよ。
ですから、従来の考え方の方と、結果的には遅れて一緒になったということでいいんですけれども、ただ、きっかけとしては、この戦争、いつ終わるかまだ分からない。長期化するかもしれない。いずれにしても、それで一番被害を受けるのは日本の小さい子どもたちであってはならないという形で、六月から遅ればせながら申し上げたという次第なんですけれども、そういう観点からのご意見はどうですか。ずっと考え方は変わらないんですか。
◎保坂 区長 今おっしゃった戦時下という言葉は非常に戦慄を覚えるような言葉でございます。今日も北朝鮮から弾道ミサイルが日本の上空を横切って、相当遠方に着水したという、四千キロ以上ですかね。また、ウクライナの反撃も東部は勝手にロシアが四州併合した、そのところに向けてかなりの反撃が進んでいると。そうすると、核の使用ということも、いよいよ本気で心配しなければいけない状況になっていると思います。
つまり、現在もかなりコロナがあり、物価高騰が大変ですが、これが数段悪化するというような意味では、ちょっと先が見えないですね。経済的にも相当厳しい状況がやってくるという意味では、四年前の時点とは違うというふうに思います。ですから、その時代を踏まえて、かかる給食費の対応についても考えてまいりたいと思います。
◆大庭正明 委員 平成十八年に熊本区長のときに、医療費、中学校三年生まで無償化ということを世田谷区で実行しました。これは大きな単位の自治体としては世田谷区が初めてということで、小さいところではやっていたところがあったんですけれども、大きなその当時でも八十万人以上九十万人近い区民がいるところでは初めてだったということで、それがある意味連鎖して、連鎖というか、いろいろな政治的なあれに発展しまして、全国的にどんどん広がりつつあると。少なくとも二十三区では、もうみんなやっているというような形になっているんですね。
それはやっぱり子どもの医療、小さいとき、義務教育年齢の体は、やっぱり行政、区というか、国というか、そういうところがちゃんと面倒を見る、社会が責任を持って面倒を見るということで、やり始めたわけですよ。このときに区長はいらっしゃらなかったんですけれども、ここにいる人、皆さんは反対だったんですよ。財政課の当時の宮崎何とかという課長がいらっしゃって、もう大反対だと。もうとんでもないことだということをあちこちで言って回って、僕なんかも、ああ、そうなのかな、無理なのかなと言ったんですけれども、熊本さんは二回に分けてこれを段階的にやって、平成十八年に最後まで完成させたんですよ。それから二、三年たったら、その宮崎何とか財政課長は、あんなのできるんだよとかって平気で言っていたんですよ。ですから、私の経験的な形から言って、財政的にできないわけないんですよ。
しかも、今回の計画のうち、達成率が三五%、そのぐらいでしょう。一〇〇%にちゃんとみんな計画どおりやっていれば、税金の二十億円というのは生まれるんですよ。みんな計画どおりにいかないから、あの計画がいかない、この計画がいかないといって延び延びになって、人件費だけ、または事業費だけを食べて、それで遅れるわけですよ。どうなんですか、その計画に対して先ほど一〇〇%なんて言っていましたけれども、そんなことは言いませんよ。六〇%ぐらいやればできるんですけれども、何%ぐらい、一〇〇%とさっき言っていたのを聞きましたけれども、どうなんですか。
◎中村 副区長 立てた目標ですから、一〇〇%は目指したいと思います。少なくとも、今回の三年度の達成率を大幅に超えるものは全分野で達成していきたいと思います。
◆大庭正明 委員 だったら財政的余裕ができるじゃないですか。そうでしょう。やったらいいじゃないですか。やりましょうよ。いいですよ、それは後で。
あともう一つ気になることは、区長が度々言われていることで新自由主義に対する悪弊というか、悪いというようなことをさんざん言っていらっしゃるわけですけれども、果たしてそうでしょうかということなんですよ。
今回のコロナでワクチン接種だとか、それからテレビでの診察みたいなものというのをやりましたよね。これは新自由主義というのが、そういう派遣みたいな形でしか捉えられていませんけれども、逆に採用という面から考えると、いわゆるTVドラマで有名な大門未知子さんみたいな人がやっぱりいっぱいいるわけですよ。そういう人たちが、募集をかければ、やっぱり先生として、お医者さんとして、看護師さんとして集まるわけですよ。今回、コロナのワクチン接種に関しても、それからテレビの診察にしても、そういう形で集めた方がいらっしゃったから達成できたということじゃないんですか。
◎保坂 区長 私は今現在、日本の中に確かに小泉政権以降、非正規雇用が増えるなど格差が拡大する。しかし、一方で今回のコロナ対応の基盤としては国民皆保険があったと思います。つまり、あまねく医療に接することができる。アメリカのように、医療保険に入れない方が大勢いるというわけではないというところが死者の抑制、あるいはワクチン接種も全ての住民の皆さんに自治体が行うという基盤となったと思います。
オンラインのお話をされましたけれども、確かに過剰な規制、そしてがちがちの前例踏襲主義というのがやはり医療の世界にも現存していたということの中で、なかなかオンラインというものは一部にしか実現できなかった。その理由も、実際に区で支援する取組をしてみて分かってきました。ですから、こういう形で第七波のように診療ができない、そして地域医療機関が六時から行列ができているという状態は解消するように、世田谷区だけではなくて、ぜひそういうふうな方向で改善を図ってもらいたいというふうに思います。
◆大庭正明 委員 だから、規制緩和というか、規制突破というか、そういうものをやっぱり取っ払わないと、新しい日本というか、今後の展望する日本が成長を続けるというような要因にならないんではないか。つまり、規制緩和というか、規制を突破するということなんですよ。その意味でDXというのがやっぱり出てきたわけですよ。DXをやらなくちゃ、これは日本では閉塞を打破できないというところに来ているわけです。いるわけです。
それで、これはiPadの議会の予算特別委員会のパネルというところに載っていますけれども、これは経産省が立てたDXの定義と言われているものの抜粋なんですけれども、データとデジタル技術を活用し、業務そのものや組織、プロセス、企業文化の風土を変革し、競争上の優位性を確立することと書いてあるわけですね。私は、これの文言を、これは経産省ですから、やっぱり企業向けに言っているんだろうと。競争上の優位というのは、利益を多く取る、市場を取るというようなことを指しているんだろうなというふうに思ったんですけれども、果たしてこれは行政ではどういうふうになるのかなということを考えたんですよ。
例えば、実際に令和三年度の三月の予算特別委員会では、加賀谷部長がRPA、ロボティックプロセスオートメーションといって機械に計算を即時やらせることによって、保育認定業務を年間で四百七十三時間の削減ということを述べたっきり、区長が時間を返すと言ったような形の発言というのはどこも載っていないんですよ。一体どこでどう実践されているんですかということを言っているわけですよ。これは副区長がいらっしゃる前の話ですよ。令和三年の三月十日。
それから、令和四年、今年の六月二十日には、副区長がいらっしゃっているかもしれませんけれども、若手職員百五十人ぐらいを動画研修、または民間有料講義を受けさせているというんですけれども、それでDXってなりますか。一歩でも進みますかね。誰でもいいですよ。ならないって答えてくれれば。
◎菅井 DX推進担当部長 今お話にありましたDX推進リーダーというのを各職場に一人置くようにして、若い世代のDXに向けた知識だとか、また前向きに取り組んでいくんだということで、今おっしゃっていただいた動画の研修などを今まさに行っているところでございます。DX全体の推進にやっぱりつながっていくものと考えてございます。
◆大庭正明 委員 これは、要するにデジタルギャップみたいなことを代表質問でも言ったんですけれども、今、世間で騒がれているというか、言われていることでⅩ世代、Y世代、Z世代という言葉が言われています。ここに書いてあるⅩ世代というのは、いろんな言い方があって、新人類とか、就職氷河期だとか、団塊ジュニアとか、バブル世代だとか、こういう形で言われる。結構長いんですね。四十代前半から六十代前半の世代をⅩ世代と言っているわけです。
このⅩ世代も二通りあって、バブル世代みたいなところというのは、二十四時間働けますというような世代だし、氷河期だとなかなか正社員になれないというような形、Ⅹ世代とY世代を区切るものというのは、要するにデジタルの世界に接しているか、接していないかというところで区分けされているというふうに言われているんです。もしくは情報源が、こちらはどちらかというとテレビや新聞、こちらのほうはもう非テレビというんですか、インターネットとかユーチューブだとか、そういうような形で分かれるわけです。
ここの下に書いてあるのが、青い棒が令和四年四月一日付で職員数が五千四百九十九人、そのうちの分布図です。青いのがね。それでオレンジ色のほうは、人口を六十五歳から二十歳以上で区切って、その分布を併せて表示したものです。どちらかというと、このブルーのほうを見ていただきたいんですけれども、一番多い世代というのは、今、三十五歳までのところが九百十五人、だから、五人に一人ぐらいの割合でいる。その間の四十五歳前後というのが、ちょうどⅩ世代とY世代の間に来て、ここが四百四十人ぐらいいるわけですよね。
どうも最近、エクセルだとか、計算ができない、表計算ソフトの間違いだとか、ミスが多いというのは、この辺が、四十五歳ぐらいのところが、今そういうような管理職というのかな、いわゆる準管理職、係長クラスに来ているからではないかなと邪推もするんですよ。それは組織ですからね。これは職員の分布図どおりに職員配置が各場所になされているとは限りませんからね。
三十代が多い職場もあれば、もっと上の世代が多い職場があるので、一概には言えないんですけれども、松村副区長に伺いたいんですけれども、やはりこういう世代間格差、育った時代がまるで違う。例えば黒電話を知っている、ブラウン管テレビを知っている世代、それからスマホで全部ニュースを見る世代、デジタルネイティブという世代もいるわけですよ。もう二十五歳から三十歳、三十五歳なんていうのは、ほとんど平成生まれ、もしくは大人になってから平成になっているというような世代なんですけれども、先ほど若手職員百五十人ぐらいを研修しているんですけれども、いわゆるこの辺ですね。若手というのは、この辺を教育したというんですけれども、果たしてここだけが必要ですか。むしろこっちのほうは必要ではないんですかということを僕はまずお聞きしたいんですよ。
◎松村 副区長 御質問ありがとうございます。本当に世代によって、そのときのツールは全然違ってきているという御指摘、そのとおりです。
まず、補足させていただきたいのは、研修については若手の百五十人と、それからDXマネジメント研修というのをやっていまして、部長、課長世代に私が講演したものを見ていただいて研修するというのもやっています。なので、両方やっていますというのがまず一つ。
それから、大庭委員が非常に重要なことを御指摘いただいたのは、本当にコミュニケーションなんですよね。私が期待しているのは、若手の世代が今すごくデジタルネイティブで強い。その柔軟な発想をもって、先ほど突破するというお話をいただいたと思うんですけれども、その突破的な発想で何か考えたときに、同じくDXマネジメント研修を受けた部長、課長世代が聞いてあげて、経験は逆に持っていますから、経験値を持った上で、その中でどうDXをしたらいいんだというような対話が起こってくれば、要はボトムアップで変わってくると思っていますので、私は若手についても、部長、課長世代についても、その研修ですごくキーだと思っています。
◆大庭正明 委員 今日、お集まりのここにいらっしゃる方が世田谷区の頭脳というか、幹部だと思うんですけれども、ここにいらっしゃる方の平均年齢はお幾つでしょうか。
◎池田 総務部長 五十七・七歳と認識しております。
◆大庭正明 委員 五十七・七歳なんですよね。だから、ここのあたり、最後の二つぐらいのところにいらっしゃるわけです。それで、僕は本会議のときにトップは誰だと言ったときに、副区長は私ですと言ったんですけれども、それは職責上のことであって、トップは人事権を持っている区長なんですよ。保坂区長なんですよ。ですから、今、副区長が言われたのは、この世代とこの世代の対話、こっちが経験値が多い、こっちはデジタルにたけている。この二つを融合させていかなくちゃいけませんよということの示唆を今お答えいただいたわけですよ。
ですから、僕は、区長はどうやってそれをさせるのかということを聞きたいわけですよ。これだったら、今までの年功序列式ではなかなかDXは進まないんですよ。先輩よりも後輩のほうが技術的にはたけている場合が多い。何でこんな簡単なことを上司はできないんだろうというふうに思っているのがひしひしとこれから深刻化していくわけですよ。
それを打ち破るには、区長のいわゆる人事権というんですか、区長の組織に対する改革的な考え方を指示しなければ、または命じなければ、それは副区長が幾ら言っても聞く耳は持たんですよ。現場を持っているわけじゃないですから。それに対して、どういうふうな人事政策を持つのか。人事政策というか、やり方、つまり、若手グループと経験値の高いグループと技術的に優れたグループというのを融合させるような組織づくりというのはどうやってやるんですかということをお聞きしたいんです。
◎保坂 区長 これからつながるプランを経て、基本計画策定に入っていくわけですが、その際も、これまでのようなピラミッド型といいますか、上意下達型の組織という形があります。世田谷区役所も、その例に漏れずにこれまでやってきた。各所管ごとに固まりがあって、その所管の責任で物事を処理していくということで、自分の上司、その上ということでチェックを経ながらやってきた。
ところが、今、我々で直面している課題は、例えば住民サービスにしても非常に複雑化しているし、また、同時にたくさんの区民に出歩いてくれというやり方ではもうない。複数のサービスを横ぐしを刺して、それを実現するような仕組みを設計し、実現することにあるので、そうすると、今までの所管ごとの対応ではもう完全に間に合わなくなってきます。
同時に、ピラミッド型の組織よりも、ネットワーク型の、つまり横のつなぎがいい真ん中の世代も含めて、チームとなってしっかり連携をして、その課題を短期間で解決するような組織体質に変えていかなければならないというふうに思って、ここの点は松村副区長とも、他の特別職とも日々相談しているところでございます。
◆大庭正明 委員 やっぱり仕組みというか、構造とか、そのものをかっちり変えないと、組織は変えられないし、慣れたままの組織のまま延長されるわけですよ。具体的に、要するに松村副区長がDXのツイートで、よその地域でやっていらっしゃる好例というか、いい事例があるわけですよ。それをリツイートしようとしたら、部長が止めたの。誰が止めたのか知りませんけれども、世田谷区には、そういう役所内のガイドラインがあって、そういう自由なことができないような仕組みになっているというふうに訴えているんですよ。それは区長自身も自覚なさっているんじゃないですか。
我々は、長く区長名義でツイートをやれやれと言ったほうじゃないですか。それはできない、できないと言ったのは、実は役所内のガイドラインに、外部に向かって人の意見を聞いちゃいけないとか、人の意見を取り込んじゃいけないみたいなガイドラインがあるということが分かったんですけれども、それは突破しなくちゃ駄目じゃないですか。
◎保坂 区長 役所文化の中では、何事も慎重に石橋をたたきながらということで、よかった点もあるでしょう。しかし、このDXに関しては、特にSNSというのは一方的な発信じゃないわけですね。いいことを言ってくれたら、よかったとか、いいねのボタンを押すとかいうぐらいは当たり前であって、それも旧来的な文化だと、これは決裁はしたんだろうか、いいねという決裁は誰がどこでというような発想になっちゃうわけで、そこを大胆に変えるということを、松村副区長には着任してもらった当時から、今まさに改革の途上にあるというふうに聞いております。
◆大庭正明 委員 違うよ。いや、やるのは区長でしょう。区長が、このガイドラインをもうやめると一言言って、それはもう部下を信じて、むやみに駄目だと言うんじゃないんですよ。やっぱりそれは自分の信頼する部下たちがやることに関しては、社会的常識の範囲で、これを開放するんだということを区長が決めればいいことじゃないんですか。御自身も区長としてやりたいんでしょう、ツイッター。
◎保坂 区長 社会的常識の範囲でと言っていただいたので、むしろ、だから松村副区長と相談しているという中身は、これはやろうと。やるに当たって、ただ、今までの縛りとかガイドラインもあるので、それをいつ、どのように変えるかということについて、きちんと部の中でもチームでも、話を詰めてやってくださいということで話をしているところです。ですから、方向としては、委員おっしゃるように、全部旧来の縛りの中で、これでいいということでは全くなくて、変えていくというふうに決しています。
◎松村 副区長 ありがとうございます。補足というか、考え方なんですけれども、大庭委員のコメント、非常に追い風をいただいているなと思いつつ、ガイドラインも目的がありますし、当然そのリスクとか効果とか、そういうのをきちっきちっと見ながら、これはリスクが許容できるから、じゃ、ここまで変えようというふうに、そういう議論を庁内でやりながら、今はまだこういうガイドラインが適正だといったような対話をしていきたいなというのは思っていまして、今回はツイッターだけですけれども、その他あまた、固定観念に基づいて、そういうガイドラインなり規則なりがあるので、それを一個一個、そのリスクは何、効果は何、じゃ、コストは何というのを評価しながら、世田谷区のDXもしくは世田谷区のミッションを達成するに当たって、どうやったら適正かという話を中でぜひやりながら進めていきたいなと思っております。
◆大庭正明 委員 理屈は後からついてくるという形で、とにかくやることですよ。やってみないと分からない、これは誰にも。DXがどうなっていくものなのか。
それから、私は、さっきの競争上の優位性を確立することということは急げということだと思うんです。
急げということの中には、世田谷区で今回、二十八の出張所に対して、そこまで足を運べば、要するに本庁に行かなくてもいいよというシステムをつくるんだということが一つの表題になっていますよね。
これは松村さんに聞きたいんですけれども、それができるんであれば、全国の村とか、要するに世田谷というのはマスのメリットがあるわけですよ。九十万人が住んでいるというメリット、集約化というか、そういうもの。だったら、全国の自治体だって、そのサービスを世田谷のサービスに載せませんかということだってできると思うんですよ。
つまり、DXというのはそういうことができる。全国の自治体でお金がないようなところ、そういうところに対しても、世田谷のDXをばあんとつなげることによって、そこの市町村でもいろいろなサービスが、そこの村役場か出張所か分かりませんけれども、何でもできるということで、全国制覇するというか、どんどんどんどん取り込んでいって、そこの税収を一部いただくという形にすれば増収になるんですよ。全国千八百の自治体があるわけですから、そのうちの千ぐらいを世田谷のDXでやりませんかという形で売り込めば、その一割でも二割でも手数料を取れば、小さい市町村はこんなに安くてDXができるんだったら、世田谷に載ろうということになって、いろんな情報がまた入ってくることによって変わるんですよ。
ITというのは量的な変化なんです。量的な変化です。こんな細かい計算が速くできるということ。DXというのは質の変化なんですよ。様態の変化というか、要するに、今までの区役所とか村役場のイメージがどおんと変わるんですよ。そのぐらいの大変化を世田谷から起こすべきだというふうに思うんですけれども、私の考え方は全部間違っていますか、合っていますか。
◎松村 副区長 御質問ありがとうございます。本当に柔軟なお考えを見倣わなきゃなと思って今伺っていました。答え方が難しいんですけれども、前半部分につきましては、まさに国が今ガバメントクラウドという形でやろうとしている話ですし、先ほどちょっと言葉が出ましたけれども、間違っていないと思います。
◆大庭正明 委員 区長、ぜひ進めてください。
以上で私の質問を終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。
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○宍戸三郎 委員長 引き続きまして、日本共産党、どうぞ。
◆江口じゅん子 委員 日本共産党の総括質疑を始めます。
まず、今後の子ども政策の考え方であるグランドビジョンが、今般、示されました。ビジョンの基本的考え方は、年少人口の減少に合わせ単に支援や施設を縮小せず、在宅子育て支援拡充をベースに、子ども・子育て関連施策全体で必要な施策に組み替えるとあります。保育では、区立園を令和十六年度までに四十六園から三十九園に減らす統廃合計画も示されています。
グランドビジョンを議論する前提として、私は、まず、保坂区政の最重要課題である保育の質を守りながらの待機児解消はどこまで実現できたのか、検証が必要の立場で伺います。
区は、令和二年度から保育待機児解消を実現としています。その要因は二つです。一つ目は、認可を中心とした精力的な保育整備。保坂区政一期目から現在まで、百四十五か所、九千四百七十八人分の認可園を整備してきました。全庁挙げての精力的整備、改めて評価します。
二つ目は、令和二年度から待機児の数え方を国基準に変更したことです。変更によって、それまで待機児でカウントしていた育休の延長者、企業主導型保育事業所の利用児童は待機児から除外されました。認可に入園できていないのに待機児除外の子どもは、潜在的待機児童、いわゆる隠れ待機児童と呼ばれています。中でも、自宅から三十分未満の認可園などに空きがあるが入所できていない児童、当区では令和二年度は四百七十四名、令和三年度は二百九十五名、そして今年度、二百四十五名もいます。保育の希望がありながら、入園できていない子どもたちが残されています。
地域、年齢構成はここにある表のとおりです。自宅から三十分未満の認可園に空きがあるが入所できていない児童の、これは令和四年度、令和三年度です。これを見ると、大きな地域偏在が見られないということが分かると思います。そして特に一歳児が多い、これが特徴だということです。子ども・子育て会議からも、これら入園できない子どもが一定数存在していて、状況分析の必要があるということが指摘されています。
他自治体でも、保育施設の空きがある一方、隠れ待機児が減少しない問題があって、横浜市では専門チームによる分析調査を実施しました。隠れ待機児の最も多い要因として、横浜市では、きょうだいで同じ園希望がトップ。次に、ゼロから二歳児までの小規模保育事業ではなく認可園の希望者が多い、こういったことが判明しています。結果からは、家庭事情などから、自宅近く、また、きょうだい同じ園でないと通えない切実な事情があること。そして保護者ニーズは、かつての入園できればどこでもいい、こういったことから、ゼロから五歳まで在籍できる、園庭があるなど、認可で、実績や環境がよりよい園を選択する傾向があると考えます。
当区でも同様な状況が推測されます。しかし、当区での隠れ待機児の要因分析は進んでいるんでしょうか。きめ細やかな分析、対応がないままではミスマッチは解消できず、真の待機児解消とはなりません。区長も、令和二年当時、国基準でゼロだが、本当に困っている人、入れない人ゼロに向けて一層努力と答弁されてきました。しかし、現在、計画決定以外の区の新規園認可整備はストップしています。区長は、当区の隠れ待機児をどう認識しているのでしょうか。待機児ゼロは達成されたのでしょうか。
保育の質を守りながらの待機児解消。私は、検証の二点目として、保育の質は守られているか、これを提示したいと思います。
次のパネルですけれども、これは当区の弾力化、つまり定数以上に子どもを詰め込んでいる人数の表です。上は区立園。四十六園で、弾力化、詰め込んでいる子どもの数は二百六十八人。私立では、弾力化、詰め込んでいる子どもの数は百四十四人。こういった詰め込み保育という問題が取り残されています。
保育基準では、子ども一人当たりの面積と保育士配置基準が定められています。定数以上の詰め込みは、子どもたちが寝食を伴い、長時間過ごす保育環境の悪化ともなり、また、保育士の目が行き届かず、事故やトラブルの発生、さらに不適切保育にもつながる問題です。この間、保育関係者の方からお話を伺いました。保育の質は保育基準にある、子どもを詰め込んだままで待機児解消と言わないでほしい。また、区立園を減らす前に詰め込み解消が先などと伺いました。
区は、この間、詰め込み、つまり弾力化解消を進めるとしていますが、いつまでに解消する計画なんでしょうか、伺います。
◎和田 保育部長 区では、一人当たりの面積と保育士配置基準を守った上での定員の弾力化の解消は、保育の質の向上のために重要であると認識しており、弾力化解消に向けて取り組んでいますが、一・二歳児の保育需要がまだまだ高いことや、私立保育園の弾力化解消については法人の運営にも影響することから、法人から意見を聞きながら慎重に進めているところです。
区立保育園につきましては、私立保育園に比べて一園当たりの弾力化数が多いため、弾力化解消に向けて積極的に取り組んでおり、令和四年四月時点の弾力化数二百六十八名から、令和五年四月には六十名程度の解消を行い、約二二%を削減する予定としています。今後も、各地域地区の保育需要を見極めながら、可能な限り弾力化解消を進めるとともに、保育定員の適正化に取り組んでいきます。
◆江口じゅん子 委員 可能な限りということですが、いつまでに解消する計画はないということです。
では、区長に伺います。区長の掲げてきた、保育の質は譲れない、保育の質を守りながらの待機児解消を多くの保護者、区民は支持し、評価してきました。しかし、今も隠れ待機児も詰め込み保育も解消していません。区長は、保育の質を守りながらの待機児解消はどこまで達成できたとお考えか、また、今後どうしていくのか伺います。
◎保坂 区長 私は、区長就任以来、待機児童解消は最優先課題として、国や都に働きかけを含めあらゆる政策に取り組み、令和二年四月に待機児解消を実現し、三年連続でこれを継続しています。保育園の整備に当たっては、単に待機児童解消のために施設をどこでもいいからつくるということではなく、子ども第一の観点に立ち、最優先でその環境をしっかりよいものにすること、ここで限られた土地でも園庭を整備したり、保育士の配置基準を国基準以上にしっかり配置をするなど、保育の質を重視しながら、待機児童解消の量的拡大を実現したものと考えています。
委員お話しのとおり、いわゆる国計算の待機児童を解消したものの、保育園への入園を希望しながら、まだ入園できていない世帯が一定数おられます。昨今のコロナ禍では、保護者の働き方の多様化などによって、必ずしも認可保育園での長時間保育ではなく、短時間での預かりや一時預かりを希望される家庭も増えてきているという変化が見られます。今後は、そうした多様な保育ニーズに柔軟に対応するとともに、就学前人口の動向や保育需要を丁寧に見極めて、これまで同様、保育の質をしっかり維持しながら、弾力化、いわば定員を超えて入れている部分の解消を実現していきたいと考えております。
◆江口じゅん子 委員 今のご答弁ですが、つまり国基準では待機児は解消したものの、保育園の入園を希望しながら入園できない世帯が一定数おられる、つまり待機児童はまだいるという認識で、区長、よろしいんでしょうか。
◎保坂 区長 国基準で待機児童を発表していますから、その国基準の待機児童はいませんが、希望されたところに行けないで、結果、保育園に行けない方で悩んでいらっしゃる方は、現にいらっしゃいます。
◆江口じゅん子 委員 現に悩んでいる子どもがまだ残されている、待機児童はまだいるというふうに、私としては区長の答弁を解釈しました。
今般示されたグランドビジョンでは、保育待機児解消の実現の一方で、就学前人口の減少などにより、既存の保育施設の欠員増が顕在化している。その対策として、区立園の定員調整や弾力化解消に取り組んできた。区立園は、就学前の子どもの育ちのセーフティーネットの役割を果たすとともに、今後、四十六園から三十九園へ計画的に再整備実施とあります。しかし、これまでも指摘したとおり、隠れ待機児童は残されています。また、子どもたちは定数以上に詰め込まれたままです。今回の再整備で区立園の定員は三百八十六名減少するんですね。
区長、隠れ待機児童は残され、定数以上詰め込まれたままですが、なぜ区立園を減らすのでしょうか、伺います。
◎保坂 区長 現在の就学前人口の減少に伴って、待機児解消で拡大をしてきた私立園の定員割れや区立保育園の老朽化の課題に対応するために、区立保育園の弾力化解消に加えて、計画的な再整備の取組は必要なものと考えています。今後も、区立保育園は、園児だけではなくて、地域地区の就学前の子ども・子育て家庭を支援していくとともに、区内保育施設の保育の質の向上を牽引していく重要な役割を担っていくことに変わりはありません。
区立保育園の再整備に伴い生み出される人員や財源は、グランドビジョンを踏まえ、区内保育施設の質を確保するための指導支援体制の強化や、世田谷版ネウボラの充実や産後ケア施設の拡大、子ども・子育て家庭への相談支援体制の強化などに当て、子ども・子育て政策全体の充実を図っていきたいと考えております。
◆江口じゅん子 委員 保育の質を守りながらの待機児解消は道半ばです。それなのに、区立園統廃合計画には納得できません。また、理由として私立園の欠員対応をおっしゃっていましたが、区立園の再整備で最も早いのは令和五年度開設の玉川拠点園。しかし、定員は十二名のみの減少です。それ以降は七年以上先の計画なんですね。しかし、私立園は、今、欠員の対応をしてほしいのに、あと数年待ってくれというのは、方針としてはおかしいのではないか。疑問を感じます。
いずれにせよ、区立保育園や、また、区立幼稚園の統廃合というのは、区民世論も様々で、分かれるということもあり得ると思います。そのために、やはり参加と協働でしっかり議論する、グランドビジョン策定にはそれを貫くということが必要です。区の子ども・子育て応援都市宣言は、保護者のみならず、あらゆる地域の大人が子どもたちの育ちを見守る地域社会を目指すとあります。そのバージョンアップを掲げるのがグランドビジョンです。多くの保護者、区民、保育・幼稚園など現場の先生方、関係者は知りません。
区立保育園、幼稚園の統廃合をめぐっても、先ほどから申し上げているように、区民世論は分かれます。私、この質問をするに当たって、現場の先生方何人かにお話を聞きました。グランドビジョンを知っていますかと聞きましたけれども、当然誰も知りませんでした。ある先生からは、これから自分たちも知る機会はあるんですか、説明を聞きたいです、現場の自分たち抜きで決めないでほしいとおっしゃっていました。議会報告から約半年の決定、あまりに拙速です。策定段階からの参加と協働をどう実現するのか、区長の認識を伺います。
◎保坂 区長 今回のグランドビジョンなんですが、これまで施設や支援ごとに取り組んできた区立保育園の再整備や未整備地区に児童館を新たに設置する問題、また、世田谷版ネウボラの取組に横串を刺して、総合的な視点から、これからの子ども政策の将来ビジョンとしてまとめたものであります。基本的な考え方は、子どもの人口が減る人口減少に合わせて子ども・子育て支援施策を縮小するのではなく、子ども・子育て応援都市にふさわしい、子育て施策を逆に充実させていくことにあります。
この間、コロナの影響が長引く中、子育て世帯の現状を把握する必要があり、ニーズ調査を一年前倒ししまして、一万二千世帯のうち半数を超える世帯からご回答いただき、子育て支援事業を利用する保護者へのヒアリングを行いまして、結果、妊娠や出産、子育てが配偶者やパートナーだけで行われている孤立した育児の状態が明らかになりました。九月には、地域で子育て支援を行う区民や活動団体、子育て中の区民が参加する区民版子ども・子育て会議でグランドビジョンをテーマにワークショップ方式での意見交換を行っており、引き続き議論を重ねていきたいと思います。
今後、コロナ禍から復興の状況により方向性を見直す必要が生じた場合には、子ども計画(第三期)策定の中で改めて検討してまいります。今回のグランドビジョンなんですが、子ども関連施設の長期的な再配置に係る骨格部分をあくまで示したもので、これから区民の声や現場の声も踏まえて、区民と共有できるグランドビジョンをつくり上げていきたいと考えております。
◆江口じゅん子 委員 区民版の子ども・子育て会議で引き続き議論を重ねていくというので、大変重要な取組と思います。ただ、さらにより広く、ここに書いてある子育て支援を行う区民活動団体や子育て中の区民のみならず、広く区民の声を聞く議論をする場をつくっていただきたく、区長に伺います。
◎保坂 区長 先ほど最後に答弁したように、骨格部分を示しているわけですから、グランドビジョンとして、まさにしっかりと完成させていく。そのプロセスの中で、現場の声、区民の声に大いに参加をしていただき、いいものにしていきたいと思っております。
◆江口じゅん子 委員 しっかり議論をする参加と協働での場の保障、よろしくお願いします。
それでは次に、区長として残す任期で何を優先し、何を実現していくのか、当面の緊急対策を伺います。
急激な物価高騰、高齢者やワーキングプアなど、低所得者の生活を直撃しています。特に高齢者は、年金削減、後期高齢者窓口負担二倍化、これも相まって、経済的困窮が、命、健康に直結する事態が生じています。
ある九十歳の方は、十月から二割負担、自分は通院が三か所だけだけれども、一回の受診の自己負担千三百円が二倍になった、年金も減り重い気持ち、配慮措置はよく分からないと伺いました。この後期高齢者の二倍化の配慮措置、分からないという声を本当に地域からよく聞きます。分かりやすい啓発をここでも求めます。
さきの一般質問でも、困窮する高齢者がエアコンを買えないなどの事情で、今夏の区内屋内熱中症死亡者数十六名、これはほぼ高齢者。うちエアコンなし、あっても未使用が十三名、深刻な状況を指摘しました。
困窮が広がる状況は、社協の特例貸付けの実績からも明らかです。緊急小口資金の特例貸付け、令和元年度は百四十件、令和二年度一万二千三百二十五件、令和三年度は四百二十二件。総合支援資金の特例貸付け、令和二年度延べ一万六千八百六十八件、令和三年度延べ一万一千二百五件。過去最高の大変な数です。これら貸付けの返済開始は、早い方で来年一月から始まります。あるフリーランスの方のお話を伺いました。コロナ禍で仕事が激減。持続化給付金、住宅確保給付金、特例貸付けも借り、何とか生活している。貸付けの返済のめどが立たないということです。
この間、我が党は、低所得者への区独自給付金を求め続けてきました。四次補正の内示では、都補助を活用し、ひとり親など子育て世帯へ上乗せ給付と聞いており、独自施策をさらに進めていただきたい。所得基準より少し上、子育て世帯ではないなどで従来制度の対象外の困窮層は、利用できる支援がなく、置き去りです。早急に低所得者への区独自給付金実施を求め、区長に伺います。
◎保坂 区長 食品や家電など幅広い製品の値上げが十月一日から大幅に広がりました。食品の値上げは六千六百品目に達し、厚労省の毎月勤労統計調査によると、七月の一人当たりの賃金は、物価の変動を考慮した実質で前年同月比で一・八%減少ということで、全区民の生活に大きな影響が及んでいると認識しています。今後もこの新型コロナの収束がまだ見通せない中で、この物価高騰が続くことが懸念されることから、区民生活の実態や状況等を把握し、区民全体をよく見ながら、さらなる対策を考えていきたいと思います。実施に当たり、地方創生臨時交付金の増額により追加交付が決定している八億九千万円も含めて、国や都の財源を入れながら、有効な支援につなげていきたいと考えております。
◆江口じゅん子 委員 次に、屋内熱中症死亡者十六名の事態を繰り返さないため、来年度予算でエアコン助成、夏季の電気代補助を求めます。
既にエアコン設置助成実施の先行自治体では、港区のような高齢者・低所得者対象の福祉型と、荒川区、足立区のような省エネ型エアコン購入補助の環境型があります。これらを踏まえ検討し、来年の夏に間に合うよう、ぜひ予算化していただきたく、区長に伺います。
◎保坂 区長 委員の御指摘のとおり、エアコンの問題について、特に熱中症死亡の方々の中でエアコンを使っていない方が非常に多かったということも含めて、深刻な状況だと考えております。私は、特に高齢者の方が、この酷暑の中でどのような状況で生活しているのか、厳しい中でエアコンの購入ができない状況にあるのか、エアコンがあるのに使用しない理由がなぜかをきちんと把握し、併せて熱中症対策も徹底するように指示してまいります。
生活保護の仕組みの中では、エアコンを購入する費用の助成があります。また、エアコン設置に限りませんが、生活に困窮している方には、ぷらっとホーム世田谷などの相談支援があります。エアコン設置の助成については、他自治体の取組も参考にし、今ある経済的な支援の仕組みからはどこまで届かないのか、不足するのかを検証してまいります。
このエアコンが設置してあるが使用しない高齢者の方に、命の危機であるということと、その心配事の解決ができるように、調査、そして点検、そして対策を進めてまいります。
◆江口じゅん子 委員 時期を逸することなく、早急な決断を重ねて求めます。
それでは最後に、つながるプランに掲げる子ども・若者の学びと育ちの支援、どこまで引き上げるか、残された課題はどうするのか、その際、区政の基本である誰一人取り残さない包摂的な社会の実現を目指す立場、やはりこれの通底の必要があると考えます。学校給食完全無償化でも、不登校で家庭で過ごす子どもや、ほっとスクール、フリースクールなどに通学する子は支援を受けられません。全体の中で取り残される子どもがあってはなりません。区長は残す任期で、誰一人取り残さない子ども・若者の学びと育ちの支援をどこまで進めるのでしょうか。併せて、学校給食完全無償化の不登校児の子どもの支援をどうするのか伺います。
◎知久 教育総務部長 現在、給食費の無償化を実施した場合を想定し、関連する課題を教育委員会内で洗い出し、共有化を図っており、不登校の児童生徒への対応も含め、抽出された課題については早急に対応の方向性を整理し、必要な対策を検討することとしております。給食の提供のないほっとスクールや不登校特例校の児童生徒につきましては、無償化により他の児童生徒との不均衡が生じることがないよう、経済的支援なども含めて、既に無償化を実施している先行自治体の取組も参考にしながら、その対応策を検討してまいります。
◆江口じゅん子 委員 子どもの最善の利益の立場で、前向きな検討を重ねてお願いし、以上で日本共産党の質疑を終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後四時十六分休憩
──────────────────
午後四時三十分開議
○宍戸三郎 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
生活者ネットワーク、どうぞ。
◆高岡じゅん子 委員 生活者ネットワークの総括質疑を始めます。
令和三年は、令和二年に引き続き、新型コロナ感染症の対応を軸に八度にも及ぶ補正予算が組まれ、時々刻々変わる社会情勢に合わせ、スピーディーな行政執行を求められた一年でした。生活者ネットワークはこの感染症に対し、何よりも命を守ることを優先にした対策を求め続けてまいりました。令和三年度を振り返り、コロナ対策について区長が特に留意した点は何だったのか、伺います。
◎保坂 区長 まず、令和三年度当初予算は、
新型コロナウイルス感染症の収束が全く見えない中で、地域経済の動向が極めて厳しいという見通しの下、財政運営をしっかりやることを念頭に置きながら、感染拡大を合理的に抑えながら、区民の健康と生命を守り抜く決意で編成したものであります。
その後も新型コロナの影響が拡大、長期化していく中で、ワクチン接種や保健所PCR検査体制の強化や抗原定性検査キットを確保し、区民に供給する取組など感染拡大防止対策、そして、せたがやPayの発行支援などによる区民の生活と区内事業者等の活動を守る取組について補正予算により対応してまいりました。地方創生臨時交付金をはじめ、国や都の財源の有効活用を念頭に置きながら、臨時会での議決を含め過去最多の八次にわたる補正予算を編成してまいりました。
今後もエネルギーや食料品をはじめとした物価高騰、長期化する
新型コロナウイルス感染症や極端な円安による企業収益及び区民生活への深刻な影響が懸念されます。迅速な予算の対応が必要な場合においては引き続き区議会への時期を早めた丁寧な説明を行うとともに、区民生活の安全と安心を守り抜いていくために政策を機敏に打っていきたいと考えております。
◆高岡じゅん子 委員 昨年度、議会と行政が一致して、年度末や年末など、出費の多い時期に間に合うように区民に支援を届けることができたということはよかったと思っています。また、区がこの二年間につくり上げた感染症から区民の生命を守るための随時検査の仕組みや介護職員への予防的な抗原検査、オンライン診療の仕組みなどを評価しております。
とはいえ、コロナによる影響は長期にわたり区民の生活を脅かしています。公的な支援を受けるためには、まず住居の安定、安定した住所が必要です。住まいを中心に生活を支えるための包括的な支援として、住居確保給付金にこの二年間、注目し続けております。令和二年度は四月に給付条件を緩和したことから爆発的な利用件数の拡大があり、新規申請件数は、令和元年の百七件に対し、令和二年は全体で六千七百二十三件となりました。二年間を超える感染流行の波の中、三か月を単位とした支援は、特例的な延長により、最長十五か月までの支給延長が認められました。区民が経済的理由で世田谷区から転出することをある程度抑制できたのではと感じています。
令和三年七月からは、
新型コロナウイルス感染症生活困窮自立支援金という制度も始まり、様々な支援が打ち出されています。住居確保給付金の利用状況は令和二年に比べて落ち着いてきているようですが、令和三年度、また、今年度の申請状況や生活困窮者自立支援金の申請状況について確認いたします。
◎田中 保健福祉政策部長 住居確保給付金につきましては、令和三年度の新規申請が千二百四十三件、四年度は八月末時点で二百五十四件となっています。この住居確保給付金は、令和二年度から引き続き休業などにより収入が減少し、離職などと同程度の状況にある人まで対象が拡大されておりまして、令和元年度と比べると依然として多い状況となっております。生活困窮者自立支援金につきましては、特例貸付けなどの利用が終了した世帯に対し、就労による自立を図るため、また、それが困難な場合は円滑に生活保護の受給につなげる制度で、令和三年度の初回申請が三千六十件、再支給申請が千三百五件、四年度は八月末時点で初回申請が六百四十七件、再支給申請が七百九十四件でした。生活困窮者自立支援金につきましては、令和四年十二月末まで申請期限が延長されたことにより、申請時期によっては年末年始以降も受給ができる状況です。
私からは以上です。
◆高岡じゅん子 委員 年越しを挟んで、年度末までこの新型コロナ対応の自立支援は継続するということで少し安心いたしました。これらの給付制度の期間が終わっても生活の立て直しができない場合には、使えるのはもう生活保護ということになります。
この給付金を使う区民がこれだけいたにもかかわらず、世田谷区の生活保護の利用人数は、この二年間、ほぼ横ばいです。この違いはどこから来るのかと、二つの制度の利用者の中心となる年齢層を確認しましたところ、生活保護の受給世帯の半数以上が六十五歳以上の高齢者世帯であるのに対し、住居確保給付金の利用者は令和二年四月以降、一貫して半数以上が二十代、三十代の若者層となっています。総務省の雇用統計の数字を見ますと、二十代前半までの若者の半数が非正規雇用で働いています。こういった若い世代の方が様々な制度を利用して世田谷区での生活を維持しているということが想像されました。また、コロナで収入に大きな影響を受けるだけではなく、この層の方の就職活動などにも影響があったのではないかという懸念を私は持っております。これらの新型コロナ特例の制度が終了した後も、苦境に立たされている若い区民が区内で自立して暮らし続けられるような支援が必要です。どのような支援ができるのでしょうか、伺います。
◎田中 保健福祉政策部長 ぷらっとホーム世田谷では、早期に一般就労することが困難な方に対しては、時間をかけて生活を立て直すプログラムや就労につながるビジネススキルを習得するプログラムなど、御本人の課題やニーズに応じて様々な自立につながる支援を実施しております。また、生活困窮者自立支援金を活用されている方などの就労による自立を図るための就労支援も実施しておりまして、令和三年度の新規支援件数は六百六十件、四年度は八月末時点で三百三十五件となっています。働くことに悩む若者や社会との接点が持ちづらいなど、生きづらさを抱えた若者に対しては、ぷらっとホーム世田谷での支援だけでなく、同じ建物にある若者サポートステーションやメルクマールせたがやへのつなぎや各機関が協働でプログラムを実施するなど、連携して支援を行っております。
加えて、子ども・若者支援協議会などにより、ハローワーク、青少年交流センター、障害者就労支援センターなど、様々な関係機関とも連携しており、引き続き生活に困窮する若者の支援に一体的に取り組んでまいります。
◆高岡じゅん子 委員 この質問のために、令和元年度の九月と今年、令和四年九月の年齢層別の世田谷区の人口統計を調べました。二十代の人口がほぼ変わらなかった一方で、三十代の人口のみ、一万人減っているということが分かりました。若い世代が希望を持って働き、住み続けられる地域になるように、先ほどお話しいただきましたぷらっとホーム世田谷ほか、様々な部署が上手に連携を取り、伴走型の支援のさらなる充実を望んでおります。
若者が減る一方で、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年以降、高齢者のケアをどうやって社会で支えていくのか、今のままの介護保険制度で世田谷らしい幾つになっても住み慣れた地域で安心して暮らせる地域がつくれるのか、本当に疑問を抱いています。介護保険制度は、基礎自治体である世田谷区が経営主体となり、制度の開始以来、一般会計からの繰入れが必要となるような赤字を出すことなく運営してきていると聞いています。令和三年度も黒字を維持し、先日の補正予算で介護給付金準備基金に積み増しを行いました。令和三年度世田谷区
介護保険事業会計が黒字決算となった理由を区はどのように捉えているのか、伺います。
◎山戸 高齢福祉部長
介護保険事業会計は、介護保険事業計画三年間の給付計画に基づく保険料設定により運営をしており、赤字にならないよう制度設計しております。そのため、委員が黒字とおっしゃるのは歳出である給付実績に対して財源となる保険料収入が多かった状況を指し、その理由として、計画より保険料が多く収入された場合、または給付が減少した場合が主な原因となります。令和三年度から令和五年度の保険料の設定では、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞等により第一号被保険者の所得分布にも影響を及ぼすと考え、年金以外の所得がある被保険者のうち、一部の方の所得が減少すると仮定し、推計したところです。しかし、コロナの影響が想定より少なく、保険料は計画で推計した見込額より多く収入がありました。この保険料は介護給付費準備基金として積み立てます。
◆高岡じゅん子 委員 区として大きな利用控えは起こっていなかったという御認識だと受け止めました。黒字分――私の言うところの黒字分ですけれども――を基金に積み増すその意義についても確認いたします。
◎山戸 高齢福祉部長 介護給付費準備基金は介護保険事業計画期間における財政の均衡を保つために設置しており、財源は全額六十五歳以上の第一号被保険者の介護保険料となっております。介護給付費準備基金は第一号被保険者の介護保険料を財源としていること、介護保険料は三年ごとの介護保険事業計画にて定めていることから、これまで計画期間中に積み上がった基金積立金は、その一部を次期計画の介護保険料の上昇抑制に活用してまいりました。
令和三年度から令和五年度の保険料においても、過去に積み立てた基金を活用し、区では初めて全段階の保険料の引下げを図ったところです。第八期計画では、二〇二五年の保険料の基準額を現在より八百九円高い六千九百八十九円と推計しており、次期計画の介護保険料の急激な上昇は課題であると捉えております。そのような状況、また、基金の趣旨を踏まえると、今回積み立てた基金積立金の活用は、次期計画の介護保険料の上昇抑制に活用することが望ましいと考えておりますが、具体的には、今年度中に開始する第九期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定の中で、次期の介護保険料の設定について、基金の活用を含めて慎重に検討してまいります。
◆高岡じゅん子 委員 基金を今後の介護保険料の上昇を抑制するために活用することには賛同いたします。
介護保険の仕組みとして、綿密な需要予測、つまり給付計画を立てる、そのことがとても重要だということが分かりました。そのための三年に一度のニーズ調査、また、事業者調査も本当に重要になってきます。例えば入浴サービスなど利用者にとても喜ばれるサービスですが、これの十分な安全確保に人員がつけられるような現場の立場からの制度改善に向けた声もニーズ調査の中できちんと酌み取っていただいて、介護保険制度を本当に使えるよい制度にしていく機会としてこの調査を活用していただきたいと思っています。これを私たちとしては大変要望しておりますので、よろしくお願いいたします。
コロナ禍により、一時、高齢者の外出機会が非常に減ってしまいました。この経験を経て、人と人との触れ合いや定期的な高齢者の外出機会。これは生活の質を維持するためにとても欠かせないということ、高齢者本人だけではなく、家族としても実感しています。令和三年度、大きな利用控えはなかったというふうな御認識でしたが、通所介護サービスでは実利用者が定員に満たない日が続き、経営的に大変厳しいという声も聞いております。通所介護サービスなど新型コロナの影響を受けた介護サービス事業者への支援について伺います。
◎山戸 高齢福祉部長 長引くコロナ禍において、介護サービス事業者が感染予防対策を講じながらサービス提供を継続できるよう、区は独自の取組として、令和二年度より利用者や職員に感染者が発生した際の設備の消毒、職員の感染等による人材確保のための職業紹介手数料や割増賃金等の掛かり増し経費の補助を実施しており、今年度も行う予定でございます。
さらに、この間の光熱水費やガソリン等の物価高騰が介護サービス事業の運営に影響を及ぼしている状況を踏まえ、国の地方創生臨時交付金を財源として、区内介護サービス事業所・施設を対象とした給付金を今議会に補正予算として計上し、先般、御議決いただきました。現在十一月より申請を受け付け、順次支給する方向で準備を進めているところでございます。
今後も新型コロナの感染状況や原油価格・物価高騰の動向を見据え、介護を必要とする方々に質の高い介護サービスが安定して提供されるよう、適切な対応を講じてまいります。
◆高岡じゅん子 委員 光熱費をはじめとする物価高騰は介護事業者にも重くのしかかっています。人材確保のための経費も大変厳しいと聞きます。できるだけ事務負担の少ない申請方法など、現場の声を聞き、介護サービスの安定的成長に向け、使いやすい形での給付を要望いたします。
また、高齢者の集いの場づくりを専門の事業者だけではなく、区民団体も担ってきたというのが世田谷区の高齢福祉の特徴の一つだと思います。主要事務事業の成果を見ますと、介護予防総合事業の住民主体の通所サービス、いわゆる地域デイは、令和二年より参加人数の回復は見られるものの、平成三十年のレベルまでは戻っていません。健康増進グループの活動なども基本計画の当初目標には届いていません。コロナ禍を経て、地域における顔の見える支えあいの活動の重要性は増しています。住民主体の集いの場づくりは再度活性化し、介護予防総合事業を立て直していく必要があると考えますが、区の見解を伺います
◎山戸 高齢福祉部長 住民主体型サービスである地域デイサービスは、要支援者などを対象にした介護予防・生活支援サービスとして実施しており、利用者数は成果指標の目標を達成できませんでしたが、コロナ禍における感染への懸念から、サービスの利用を控えたことが要因と認識してございます。
今後とも関係機関と連携し、地域デイサービスなどのグループづくりの担い手を確保するため、事業の魅力などPRを積極的に行うとともに、現在及び未来の担い手に向けた研修会やワークショップを継続して実施することにより、利用しやすい環境づくりに努めてまいります。
また、介護予防の活動を行う自主グループに対する補助事業や世田谷いきいき体操を活用する自主グループに対する運動員の派遣などを通じて、区民が身近な場所で主体的に介護予防に取り組む活動の場を充実させてまいります。
◆高岡じゅん子 委員 地域デイについて、生活者ネットワークは、二十八の地区全て、区内のどこに住んでいても歩いて行ける場所につくることを求め続けてまいりました。今、子ども食堂は二十八地区全てにあると思います。福祉の世界は、子ども、高齢者、障害者等、予算と組織が縦割りになりがちですが、今こんなに増えた子ども食堂をきっかけに、高齢者から子どもまで、障害があっても、なくても、一緒に集える食事の場ができれば本当にすばらしいのではないでしょうか。地域資源の開拓を担っている社協とも連携し、誰もが参加しやすい新たな地域デイや担い手になる団体を育てていくことを要望いたします。
生活者ネットワークは、誰もが働きやすい職場環境の実現を求めて、様々な角度から提案してまいりました。世田谷区内最大級の人員が働く世田谷区の職場がハラスメントのない安心して働ける場となることは、サービスを受ける区民にとっても、区内事業者に対する率先行動としても大切なことです。世田谷区は令和二年四月に職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針を公表し、区の仕事を担う同じ職場で働く委託事業の従事者なども職員に準じるものとし、ハラスメントの被害者にも加害者にもならないため防止するという方針を示しています。
社会と働き方は日々変化しています。先日、国からフリーランスの保護に関する法制度についての方向性が示されました。その中で、ハラスメントに関しては、事業者に対し、ハラスメント行為に適正に対応するための必要な体制整備など、処置を講じることを求められています。区はこれに対してどのように対応するのか、見解を伺います。
◎池田 総務部長 現在、国では、いわゆるフリーランス事業者との取引を行う企業等に対し、書面等による契約内容の明確化やハラスメント行為に関する体制整備などを求めることを内容とするフリーランスに係る取引適正化のための法制度が検討されております。区では既に職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針において、フリーランス事業者を含む区の契約事業者などに対するハラスメント行為を禁止するとともに、研修などを通じて職員への周知啓発に取り組んでいるところです。
今後、国におけるフリーランス事業者に係る法律の検討状況を注視し、必要に応じてさらなる対応について検討してまいります。
◆高岡じゅん子 委員 本当に働き方の多様化に様々な制度が追いついていないということや、また、働いている人たち自身にも労働者としての権利教育がなされていないことなどがこの問題の根本にはあるのではないかと私は考えています。区としては国の対応を待つという状況ですが、既に区でも専門家などフリーランスの方に仕事をお願いしていることがあると思います。実際、フリーランス、個人事業者の方が委託業務を行う中で区職員からハラスメントを受けたなどというような事態が起こったときは、区としてはどのような対応をすることになるのでしょうか。
◎池田 総務部長 先ほども申し上げましたが、区の基本方針では、職員が契約事業者等に対し高圧的な態度や無理な要求を求めることなどを禁止しており、仮にそのような事案が発生した場合には契約の所管課において、事実関係を確認の上、必要な対応を行うこととなります。引き続き各所属において適切な対応を取られるよう、ハラスメントの禁止などを周知してまいります。
◆高岡じゅん子 委員 直接に委託を出している所管課の中だけでの対応ですと、なかなか客観性とか風通しのよさに欠けてしまわないかと危惧しております。将来的には、国とかしかるべき機関においてフリーランスに向けた労働基準監督署のような外部の相談機関の窓口ができるのかもしれませんが、雇用の形態とか業務契約の種別にかかわらず、職場での困り事を広く相談できる窓口が今この社会で切実に求められているように感じております。
世田谷区も様々な形で働きやすい職場づくり、また、特に女性の非正規労働者が大変多い中で、私たちはそういった方たちが自分らしく働いていける職場をこの世田谷区の中につくっていきたいということで、様々な形で提案もしてまいりました。今回の
決算特別委員会の中で、誰もが自分らしく働ける働き方ということに関して、分野別のほかの場でも質疑を引き続き続けていきたいと思っております。
少し早くなりましたが、以上で生活者ネットワークの総括質疑を終わらせていただきます。
○宍戸三郎 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。
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○宍戸三郎 委員長 引き続きまして、新風・せたがやの風、どうぞ。
◆小泉たま子 委員 新風の総括質疑を始めます。
今回の地域行政の条例検討に当たり、多くの職員の方々とお話をしてきましたが、改革ができないと言われる方は心底できないと思われていて、結果として当然できない。一方で、できるかもしれないと思われる方には、その志に共鳴される方が徐々に周りに増え、様々な創意工夫の積み重ねで、結果としてやり遂げてしまうという当たり前のことを再確認する場となりました。一見できそうもないことを様々な分野で成し遂げてきました世田谷区と思っていましたが、果たして、現在、その伝統が引き継がれているのか。心配しております。
十月一日は区制九十周年ということで、区制九十周年を区民と共に祝うという広報をしている区がありました。そこで、お隣の渋谷区の広報を拝見しますと、十月一日号・渋谷区制施行九十周年を記念する特集号として、第一面に大きな文字で「令和四年十月一日 渋谷区は区制施行九十周年を迎えます」と書かれ、様々な魅力的な記事が載せられており、同時につくられたという記念誌の紹介もなされており、ぜひとも読んでみたいと思わせるものでした。
また、お隣の杉並区の広報は、十月一日号を未来へ継ぐ
歴史、区制九十周年特集号として、これまでの歩みやエピソードなど、また九十周年記念誌の紹介もされています。
両区とも、これまでの九十年の歩みを大切にし、その上で未来を考えていく、このことを強く区民にアピールするという構成になっていました。両区の広報紙とも読んでいてすがすがしさを感じられ、何かうれしくなる思いでした。
翻って、我が世田谷区の十月一日号には何もない。区制が九十周年を迎えたということが、その誕生日である十月一日当日の広報に何一つ書かれていません。区の広報は、区の意思が表されているものですから、思いつきで記事が載せられるはずはありません。詳細な検討があったはずです。表紙のトップ記事は「家にも学校にもないものを。」ということで、若者の居場所問題が取り上げられているのです。九十周年を迎えた当日の区の考えが表れています。
九十周年よりも大切なことがある。それが青少年の居場所問題である。そのようなお考えもあるでしょう。しかし、私はその考えには納得できません。表紙の区長の言葉でも、「若者にとって『居場所』の魅力とは?」と書かれ、区制九十周年については何一つ書かれていません。
私は、区長及びこの広報紙作成に関わる方々に問いかけたいのです。区制九十周年を迎えた日の広報では、そのことをお知らせし、みんなでお祝いし、共に心を合わせて、これからの世田谷をつくり出していきましょうということが、十月一日の広報紙の役割ではないか、その絶好の機会ではないかと考えました。私は、残念というよりも、議会の一員として、この区の姿勢を情けなく、また、区民の皆様に申し訳なく思いました。
あたかも、地域行政推進条例が十月一日に施行されたわけですが、区長が表明されていた地域行政の改革を行うということがどこに表れているのか。区制九十周年に当たり、全国で初めてと言える地域行政推進条例が成立したことを胸を張って区民に明らかにすべきではないですか。そして何が変わるのか、世田谷区がどのような姿を目指していくのかを表明するべきと思いますが、全くその気配すら感じられない。本当に寂しいことです。
まちづくりについて伺います。
区は、参加と協働により地域、地区の課題を解決していくことを条例の柱とされています。参加と協働とは、言葉はよいのですが、実際にどのように行おうとしているのですか。私は、区民に二度手間をさせるべきではないと考えます。これまでに何回も区は、地区において区民に地区カルテなるものを書かせています。町会長経験者から、いいかげんにしてほしい、何の役にも立っていないではないかと言われています。無作為抽出によるこれまで区とは関わりも持たなかった方々のご意見を聞くのも大事でしょうが、それと同じぐらい、これまでに区に言われて一生懸命指示されてきたことをやってきた多くの区民の方々の声も取り上げるべきです。
そのためにも、これまでのまちづくりの取組、地区カルテの作成も含めた経過をまず明らかにするべきです。その上で、新たに地区の課題を検討していく。その際には、まちづくりの最終責任は行政が持つということを最初に明らかにするべきと考えますが、お考えを伺います。
◎舟波 地域行政部長 地域行政推進計画におきましては、まちづくりセンターの課題解決に関わる総合調整機能を強化することを定めまして、区民参加による地区アセスメントを拡充し、まちづくりセンターが主体となって地区の課題への取組を立案し、課題解決を図ります。地区アセスメントの作成、確認におきましては、多様な活動団体との情報交換の機会を積極的に持つことが必要になりますけれども、既存の地区情報連絡会の場を活用するなど、まちづくりセンター所長等の主体的な判断の下で、それぞれの地区の状況に合わせて実施し、住民の方や活動団体の方々が新たな会議に何度も参加することのない、そのような負担にならないような工夫をしながら進めてまいります。
◆小泉たま子 委員 次に、プロジェクトというものの在り方について伺います。
今の区のプロジェクトは、自分たちでできること、できそうなことだけを目標にやっているように感じられます。区政運営がまさにあるべき姿を示さずに、できることだけをやろうとしている、そのことと同様のことがプロジェクトにも蔓延しているのではないですか。
現状の課題分析からスタートするだけでは、到達点が現状の課題解決でしかない。当たり前のことです。プロジェクトと名のる以上は、まずあるべき姿、やらねばならないことを明らかにし、そのことを実現するための方策を横断的に全庁を挙げて取り組む、これがプロジェクトの本来の姿ではないですか。そのことが見えません。
区長が招集挨拶で表明したワンストップサービスを実現する、区民に時間をお返しするなどのテーマは、いつの間にか消えてしまっている、これが今の区政運営の現状です。その典型が今回のキャッシュレス推進PTです。メンバーは、現在、収納窓口を持つ所管です。条例で示され、区長が言われている地区において包括的な窓口業務を展開していくという基本方針と地域行政部門が先日言われた今後のまちづくりセンターのキャッシュレス決済は想定していないという驚くべき考えのどこに整合性が取れているのですか。一体全体、プロジェクトチームの本来の役割とは何か伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 プロジェクトチームについてですが、設定するテーマに関係する課が参加しまして、多くの視点での課題分析から、新たな解決手法等について検討を進めることで、よりよい解決の方向性が見いだせる取組でございます。各課題の検討に当たり、課題自体や社会状況の変化も含めて、あるべき姿を予想し、変えるべきことと変えるべきでないことの見極めをしながら検討することも必要な視点でございます。
ご指摘のキャッシュレスについても、現状のまちづくりセンターでは、窓口でキャッシュレスに対応する仕組みが今現在ございませんが、区では、キャッシュレスPTを立ち上げて検証を行い、さらに窓口改善PT、オンライン相談手続検討PTも立ち上げ、各種の事務処理を将来のまちづくりセンターの区民の使い方を鑑みて検討していくというものでございます。今後も具体的な目的を迅速に達成するために、適切にプロジェクトチームを活用してまいりたいと考えております。
◆小泉たま子 委員 しっかり仕事を進めてください。
次に、指揮命令系統と世田谷区役所の最近の風潮について伺います。
政治家としての区長と行政組織の長としての区長は、役割、立場、責任の所在が異なるはず、これは当たり前のことです。区長の招集挨拶に対して、職員があれは政治家としての区長の発言だからなどということは、行政機関の長の役割を誤解しているとしか言いようがありません。
質問通告に当たり、職員の方々とやり取りをいたしますが、ほとんどの所管が議会招集挨拶の内容を把握していない、このような組織があり得るのですか。区民は職員を選べません。であるからこそ、司令塔の役割が大切になるはずですが、その姿が見えません。リーダーシップとは何なのか、疑問です。
一方で、このところ、有名企業において不祥事が頻発し、その原因として、組織全体が内向き、形だけのボトムアップなどが明らかになってきています。世田谷区も同様な状況になりつつあるように感じられます。司令塔、司令官は、この現状をどう判断し、どのように活気のある組織をつくっていくのか伺います。
◎中村 副区長 昨今の変化の早い社会経済情勢に対応して、実践的で効果的な事業を組み立てていくには、全ての管理職が区長の考えや区の方針を理解しておくことが重要であることは言うまでもありません。区長の招集挨拶の内容を管理職が把握していないという御指摘については、実務をリードする副区長として、じくじたる思いがあります。
私自身は必ずしも庁内に活力がないとまでは思っていませんが、社会環境を見ながら組織を活性化していく仕掛けは常に必要だと思っています。現在、DX推進や新庁舎への移転など、区政の大きな転換点であり、組織風土を改善していくよい機会と捉えていきたいと思います。まずは、現場の司令塔として、副区長である私自身が十分な活力をもって職員の意識改革に取り組んで、組織を横串を刺して連携させることで活性化させて、区政によい流れをつくり出していきたいと思っています。
◆小泉たま子 委員 何と申し上げたらいいでしょう。本当にしっかりやっていただきたいと考えています。
次に、外郭団体の役割と区の指導について伺います。
外郭団体は一体何のためにあるのか、疑問を持っています。なぜならば、各外郭団体が当初の使命、目的をさておいて、今の区役所と同様に、自分たちがやりたいこと、できそうなことに取り組んでいるのではないかと思われるからです。
例えば、世田谷区内には世界超一流の演奏家が住んでおられ、同時に世界一流の観衆も住み、暮らしているはず。同時に、アマチュアレベルでも全国有数の活動があるはずです。しかし、それらの方々に世田谷区が全く見向きもされていない状況をどのように感じておられるのか。情けない限りであると考えます。
その典型が、世田谷区民会館ホールの扉が二重扉になっていないこと。多額の経費を費やしながら、一流の演奏家に見放されている状況を何とも思っていないのでしょうか。つまりは、一流の演奏家や観客、最高水準のアマチュア等に対して、区の文化行政、文化程度のレベルが低過ぎるという根本的な問題があると感じざるを得ません。今後、これらの区内の様々な人的、物的資源に様々な形でご理解、ご賛同いただく中で、横つなぎをさせていただき、その結果、世田谷全体のレベルを高めて、一つの世田谷らしさを紡ぎ出していく、このことが外郭団体の役割ではないでしょうか。そうでなければ、各団体が世田谷区という看板を掲げていくのは問題と思います。そして、このことについて総合的に指導していくのが区の責務ではないかと思いますが、お考えを伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 外郭団体につきましては、区の政策を進める上で重要なパートナーとして、これまでも区民サービスを充実、拡大する役割の下、自主性、自立性も合わせて高めることを主眼に見直しの取組を進めていっているところでございます。特にコロナ禍において外郭団体を取り巻く環境も大きく変化をしてございます。それぞれの専門性を発揮しながら、今まで以上に幅広く事業を実施するという時期に来てございます。
例えば、せたがや文化財団ですが、区民の愛好家に発表の機会を提供する区民チャレンジ・ライブの開催など音楽に親しむ人の裾野を広げる実施を予定しているなど、既存の枠組みを超えました新たな可能性も見られます。各団体には、提案型の組織風土を築くこと、主体的に新たな取組にチャレンジすることも求めるとともに、ご指摘の音楽事業などをはじめとして、しっかりと区として調整指導をして、団体の課題に対しても適切な支援を行ってまいります。
◆小泉たま子 委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上で新風・せたがやの風の総括質疑を終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上で新風・せたがやの風の質疑は終わりました。
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○宍戸三郎 委員長 引き続きまして、減税せたがや、どうぞ。
◆あべ力也 委員 それでは、質問してまいります。
自治体のデジタル化が進む中で、世田谷区の古いインフラの一つである五か所のコミュニティサイクルポート、がやリンと二か所のレンタサイクルポートの利用状況は、約千百五十人の月ぎめの利用者の方に、一か月約一万八千回の利用で、現状の事業経費は年間約四千四百万円とのことです。
一方、民間のシェアサイクルの世田谷区での普及と利用状況は、現在、世田谷区では百三十か所ほどのシェアサイクルステーションがあり、内訳は公有地が二十か所、民有地が百十か所程度とのことです。また、令和二年四月から世田谷区と協定を締結して行っている民間のシェアサイクルの実証実験は、月間四万二千回利用されています。これはがやリンの二・三倍です。
ポートが少なく限定されているがやリンが採用しているアナログシステムの老朽化と、現状、百三十か所と多くのステーションポートが利用でき、位置情報で管理されたシェアサイクルの技術革新的なデジタルシステムを比較すると、区民の利用頻度の違いは歴然です。切替えが必要な時期に来ていると考えます。
現行のコミュニティサイクル、がやリンとレンタサイクル事業を廃止し、その用地を民間のシェアサイクルステーションに切り替えることで一層利便性が増し、区民の満足度向上に寄与できると考えます。民間のシェアサイクルを活用した新がやリンシェアサービスに移行すべきだと考えます。
加えて、本庁舎及び総合支所、出張所など、区民がふだん活用する全ての公共施設への設置と、駅や商店街、病院など民間施設への民間シェアサイクルステーションポートの設置促進で、区民の利便性の向上とともに、交通不便地域の公共交通機関を補完する役割を担えるものと考えます。現状の百三十か所の民間のシェアサイクルポートの倍増を目指して、きめ細かなアライアンスを構築することを提案、要望いたしますが、区の見解を伺います。
◎工藤 土木部長 令和二年四月から行っております民間シェアサイクルの実証実験につきましては、区民の移動利便性の向上を図るため、事業者と連携して区内全域へのステーションポートの拡充に努め、官民連携事業としての効果と課題をさらに見極めること、また、区が運営しておりますがやリンなどのレンタサイクルシステム機能のほか、代替並びにシェアサイクルの有効性及び課題を検証することとしております。この実験を通しまして、民間シェアサイクル事業者と連携し、公共施設などを活用したポートの設置支援に努めるとともに、区としまして、有益な自転車交通システムとなるよう取り組んでまいります。
◆あべ力也 委員 また、民間のシェアサイクルステーションを世田谷区の全ての公共施設に設置をできるとしたならば、職員の業務利用も検討できると考えます。環境への配慮やコストダウン、ガソリン代や駐車場代、その他の維持管理コストが軽減されるわけでありますし、移動効率化の取組に加えて、災害時の区職員の優先利用などの協定を事業者と締結すれば、区民への災害支援の迅速な対応も考えられます。
こうした区職員の業務利用なども視野に、民間シェアサイクルの利用拡大を区政の課題解決に広く利用できると考え、提案をしたいと思いますが、区長の見解を伺っておきたいと思います。
◎保坂 区長 このがやリンですが、平成六年から、いわゆる放置自転車対策として始まり、平成二十二年にはグッドデザイン賞を受賞するなど、当時は先進的な取組として評価をされてまいりました。一方、委員ご紹介のように、民間シェアサイクル事業は大変幅広く広がっておりまして、短距離、短時間の移動に利用され、環境負荷の低い交通手段として役割を果たしています。
現在実施している民間シェアサイクルの実証実験を通して、官民連携事業としての効果と課題の検証に取り組み、民間シェアサイクルが新たな交通手段の一つとして確立できるよう、取組を続けていきたいと思います。
◆あべ力也 委員 お答えをいただきまして、ありがとうございました。
民間のシェアサイクルは、利用データの集積が可能です。利用頻度や利用経路、利用者の年齢や性別といった区民の利用に関するニーズの把握も可能であることで、まちづくりにもこのビッグデータを活用できると思います。
特に東西交通のニーズよりも、現状でも交通機関が世田谷の場合にはあまり整備がされていない南北交通の需要が現状で大変多いというふうに伺っております。こうした不足している公共交通の整備にも、こうしたデータが役立つものと大変期待をしているところでありますけれども、こうしたデータの活用に関しても、区として、このレンタサイクル事業の取組というのは大変有望であるというふうに思うんですけれども、この点について、DXの推進をされている副区長に、このデータの活用等も含めて伺っておきたいと思うんですけれども、有用性についてお聞きしておきたいと思います。
◎松村 副区長 ありがとうございます。そう思います。
多様な区民の方がいらっしゃって、そのニーズに合わせた行政サービスというのを今回ずっとご指摘いただいておりますが、そのためにはやっぱりデータが必要という中で、民間シェアサイクルと連携するというのは一つのアイデアとして面白いなと思って、今聞いておりました。実際、今やっている部署がそこまで取っているかどうか、すいません、私は把握していないので、ちょっと調べてみようと思います。ありがとうございます。
◆あべ力也 委員 実際にその事業をされている企業の方から、いろいろお話をお伺いしまして、世田谷区とそういうコラボをすることによっての世田谷区自体の可能性もあるでしょうし、企業としての可能性もあるということで、いい関係を築きながら、区民サービスの拡大に向けて、しっかり取り組んでいただければなというふうに思っておりますので、ぜひシェアサイクルの拡大を民間の事業者と一緒にやっていただければなというふうに思っております。要望も含めて、シェアサイクルの可能性についてお願いをしたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上で減税せたがやの質疑は終わりました。
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○宍戸三郎 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。
◆上川あや 委員 初めに、公共施設の男性用トイレの個室にもサニタリーボックスの設置を求めて伺います。
男性用のトイレの個室にサニタリーボックス、汚物入れを置く取組が自治体を中心に広がりを見せています。膀胱がん、前立腺がんの手術による後遺障害や加齢のために尿漏れパッド等が必要になる男性はこれまでも一定数いたことは間違いないわけですが、外出時に使用済みの汚物をどう処理すればいいか悩む男性が少なくないということは、従来そう知られてはこなかったと思います。しかし、朝の情報番組で長年活躍されてきた男性タレントの方が、四年前、膀胱がんの全摘出手術を受け、その後、パッドの処理にお困りになってきた経験を発信し始めたことで、男性トイレへのサニタリーボックス設置の必要性が広く認識され、その設置に動く自治体がここに来て増えております。
公共トイレに関する社会的課題の改善などに取り組む日本トイレ協会が本年二月に実施をしたアンケート調査でも、同協会の会員、男女約五百六十人から回答を得て、男性の約一割が排泄に尿取りパッドやおむつなどの吸収用具類を使い、その七割が男性用トイレにサニタリーボックスがなくて困ったという経験があったそうです。ならば、ぜひ世田谷区政においても改善をと思うのですが、いかがでしょうか。まずは、本庁舎を管理する担当部のお考えを伺います。
◎佐藤 庁舎整備担当部長 昨今、前立腺がんや膀胱がんといった疾病の後遺症で尿漏れパッドなどを使用する方々からの声を受け、男性用トイレに使用済みパッドを処分するためのサニタリーボックスを設置する動きが広がっていることを認識しております。
現在、区の本庁舎では、男性用トイレの手洗い場やバリアフリートイレの一部に一般ごみとの兼用ボックスを設置して処分できるよう対応しております。今後、より安全かつ快適にご利用できるよう、第一、第二、第三庁舎、城山庁舎、ノバビルの本庁舎の全てのバリアフリートイレ、合計十三か所への専用サニタリーボックスの設置に向けて速やかに対応してまいります。また、新庁舎におきましても、令和五年度に供用開始される一期棟から、男性用トイレ含め全ての個室トイレにサニタリーボックスを設置してまいります。
◆上川あや 委員 お願いいたします。
続けて、五地域の行政拠点である総合支所や二十八か所のまちづくりセンターでもぜひ設置を進めていただけたらと思います。五つの地域を代表して世田谷総合支所よりご答弁をお願いできますか。
◎清水 世田谷総合支所長 本庁舎と同様に、総合支所及びまちづくりセンターにおいても、バリアフリートイレの一部にサニタリーボックスを設置し、処分できるよう対応しております。今年度、先行して対応できる施設では、区民センターや地区会館を含め、バリアフリートイレ及び男性用個室トイレにサニタリーボックスを設置してまいります。また、令和五年度に向けて個室トイレに設置できるよう、関係機関と協議してまいります。
◆上川あや 委員 お願いいたします。
最後に、話は変わりまして、来年九月一日の防災の日に、関東大震災から百周年を迎えるに当たりまして、百年前、このまちで起きた悲劇に行政としてどう向き合い、どう取り組むのか伺います。
関東大震災時には、朝鮮人が井戸に毒を入れた等の流言飛語により多くの朝鮮人が殺害されたことが知られています。一年前の総括質疑で、私からは、その殺傷事件に関連する記録が世田谷区政においても保管されているのではないか。また、区長も個人的にツイッター上で追悼するのみならず、公人の立場でこのまちで起きた悲劇を見詰め、追悼するべきではないですかと問いました。その結果、世田谷区内には、烏山と太子堂で類似の殺傷事件が起きたこと、当時の記録は、国が保管する資料にも、区が保管する旧千歳村の村史や、旧世田谷町長、相原氏が記した手記等にも残されているということが確認できました。
これを受け、区長も次のようにご答弁されました。関東大震災当時の朝鮮人を対象とした流言飛語が大変広がって、残念なこと、ゆえなく殺された方が世田谷区の現在のエリアにもあったということを忘れてはならないというふうに思っております。歴史に刻むことが大変重要だと思っております。これまではツイッターで追悼の意という形でしたが、次世代に語り継ぐため、自治体として何ができるのか、しっかり検討を始めていきたいと考えます。
このご答弁から、はや一年が経過しましたが、今年の九月一日も、相変わらず区長が個人的にツイッターでつぶやくだけで、区政での取組は見えてまいりません。せっかく区には、関連する資料も保存、保管されているのですから、それらを単に死蔵せず、来年の関東大震災百周年では、郷土資料館、あるいは平和資料館などとも連携した資料等の展示、また開設へとつなげ、行政としての情報発信、区長としての公の追悼を求めたいと考えています。
関連所管にもぜひ取組のご指示をいただければと思いますが、区長の見解をお伺いいたします。
◎保坂 区長 これまで世田谷区基本構想の個人を尊重し、人と人とのつながりを大切にするを基にし、差別や偏見をなくし、いじめ、暴力のない社会の実現という視点を大切にしながら区政運営に努めてまいりました。
平成三十年に、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例を制定しまして、国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる差別の解消等への取組を明確に推し進めてまいりました。
昨年、今のご質問に対して、個人のツイッターでの発信だけではなく、区としても何ができるのか検討すると答弁しながら、結果、その検討を具体化していないということを申し訳なく思います。これからの社会を見据えると、関東大震災のような危機的事態が発生し、人心が不安定な状態に陥りやすい混沌とした状況の中で差別的な流言飛語があった場合に、これに惑わされず、平常時と同じような判断、行動ができるよう、他者の人権、尊厳を大切にすることができる地域社会へとより多くの人々に想像し、また、どう振る舞うかを考えていただくことは大変意義があることだと思います。
関東大震災から百年目の節目を来年迎えるに当たって、区内で実際に起きた悲劇の教訓を次世代に語り継ぐため、自治体として、どのようにこの歴史的事実を発信できるのか、具体的な取組を生活文化政策部など関係所管に指示するとともに、区長として、追悼の在り方について検討してまいりたいと思います。
◆上川あや 委員 ぜひお願いいたします。
東京都知事による追悼は、一九七四年の朝鮮人虐殺の慰霊の式典からずっと続いてきたんですが、現小池都知事になって、これが途絶して六年になります。こうした姿勢を、追悼の辞を送付しないことは過去の悲惨な出来事を無視する姿勢につながると実行委員会の方々は批判なさっていて、全くそのとおり、世田谷区はこの逆を行きたいものだと思っております。来年に期待いたしますので、終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。
ここでしばらく休憩いたします。
午後五時二十五分休憩
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午後五時三十九分開議
○宍戸三郎 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
世田谷無所属、どうぞ。
◆ひうち優子 委員 本日は継続的に質問している図書館カウンターの進捗状況について伺います。
駅近で本のない図書館、図書館カウンターが四月に下北沢に整備をされました。図書館カウンターとは、何も大きな図書館をつくらなくても、駅の近くに貸出し、返却、本の取り寄せ機能のみを抽出した本のない図書館であります。駅の近くに図書館がない駅の一つであった下北沢。ようやく駅近に整備をされ大変便利との声をいただいております。
まず、これまでの来館数、貸出数、新規登録者数といった実績についてお答えください。また、一方で、本を予約してからどれぐらい待つのか分からず、せめていつ借りられるのか知らせてほしいとの声をいただきます。図書館カウンターのその後の利用状況と予約本の待ち状況の通知をしていただきたい。その二点について、まずお伺いをいたします。
◎内田 生涯学習部長 資料の予約や貸出し、返却など主な機能に特化した図書館カウンターは、図書館サービスを補完する施設として平成二十七年度に二子玉川と三軒茶屋、令和四年三月には下北沢に開設いたしました。下北沢は開設から今年八月末までの約五か月間で来館者が約二万八千三百人、貸出数は約四万五千六百点、また約千二百人の方が新規登録されるなど、二子玉川、三軒茶屋と同様に多くの方に御利用いただいております。今後の図書館カウンターの在り方等については、図書館ネットワーク整備の中で、既存施設の利用状況やコスト面などを評価検証しながら検討してまいります。
また、御指摘の資料のインターネット予約から受け取りまでの課題については、図書館システム更新の時期を捉え改善を検討してまいります。
◆ひうち優子 委員 今後も図書館カウンターをより多くの方が利用していただけるように、改善も含めてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、大学図書館との連携について、過去に質問した内容について、進捗状況について伺ってまいります。
以前に区民の方からの御意見、国士舘大学の図書館をたまに利用するが、大学の図書館は学部の専門的な本があるので面白い、他の大学、専門学校の図書館も利用したい、また、貸出しは難しくても閲覧だけでも可能にしてもらいたいという御意見を取り上げて質問をしました。
その後、世田谷区は、現在、十二の大学と大学図書館の利用について協定を結んでおり、紹介状が必要な場合は区立図書館で発行を行い、区民の方がこれらの大学の図書館を利用できるようになっています。また、図書館のホームページに利用協定を結んでいる大学図書館について、紹介状を要せず図書館が利用できるところや、必要な書類や注意点などをまとめた一覧を掲載しております。
そこで、さらに区立図書館と大学図書館と連携を行い、大学図書館の研究、学術の知識を共有して区民の皆様の教養を高めることに寄与していただきたいと考えますが、見解をお伺いいたします。
◎内田 生涯学習部長 第二次世田谷区立図書館ビジョン第三期行動計画では、基本方針の一つとして、図書館ネットワークの構築を掲げ、区の教育機関等との連携の拡充に向けて、区立図書館と区内の大学が連携した様々な取組を行っています。例えば地域図書館では学生による本の読み聞かせ企画や大学での研究成果を地域に発表する講座を開催し、講座で体験したことを図書館での調べ学習につなげる取組を行っています。また、中央図書館では図書館学を学ぶ学生が図書館の業務を実際に経験する図書館実習を受け入れており、図書館の実態を知るための機会を提供しています。
今後もこうした図書館と大学それぞれの活動や事業に関する情報を提供、発信し合うとともに、より多くの図書館で実施することができるように、大学との連携の拡充に取り組んでまいります。
◆ひうち優子 委員 よろしくお願いします。
次に、図書館DXについて伺います。
図書館DXの代表作は電子図書館です。私は平成二十五年から電子図書館の推進を幾度となく取り上げてまいりまして、ようやく令和二年十一月に導入に至りました。利用者の方からは、コロナ禍、図書館に行くことなく本が借りられる、時代の流れ、また高齢なので視力に問題がある中、電子図書館はありがたいという好評の御意見をいただいております。また、利用登録者数も増え、今後ますます期待をするところであります。
次の図書館DXは、滞在型図書館への図書の自動貸出し、自動返却、予約本の自動貸出しです。現在、中央図書館、十二の地域図書館で自動貸出しができますが、今後は図書館のDXの観点から全館に自動貸出し機能を整備すべきと考えます。図書館DXについての世田谷区のお考えをお伺いいたします。
◎内田 生涯学習部長 第二次世田谷区立図書館ビジョン第三期行動計画では、重点プロジェクトの一つであるICTの活用によるサービス向上とDXの検討の中で、ICタグの活用等により図書館DXの検討を進めていくこととしております。
令和五年度の工事着工に向けて準備を進めている梅丘図書館では、ICタグを活用した自動貸出機や自動返却機、カウンターを通らずに予約図書を受け取れる予約資料コーナーの設置を予定しており、カウンター業務の省力化を図り、レファレンス等の相談業務を充実させるなど業務改善につなげることを検討しております。
また、令和五年度は図書館情報システムの更新を予定しており、システムの更新時期に合わせて非来館型サービスの充実や利用者との双方向コミュニケーションの実現など、利用者の利便性向上につながるさらなる図書館DXの推進に取り組んでまいります。
◆ひうち優子 委員 区民の方がより利用しやすい図書館にしていただきたく思います。
これで質問を終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上で世田谷無所属の質疑は終わりました。
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○宍戸三郎 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。
◆佐藤美樹 委員 今回はまず、区の少子化傾向及び少子化対策というところを伺っていきます。
六月の議会の質疑でも少子化傾向を受けての区の子ども・子育て支援政策の方向性であったり、出産費用の負担軽減を含め、少子化対策自体について質疑をしました。その後、区のほうでは今後の子育て支援の方向性としてグランドビジョンというのを出してきているわけですけれども、それ以前にというか、当区、世田谷区はこれまで、二〇一八年までは子どもの数が増えてきていて、過去には国とは逆行して世田谷区は多子化ということも言ってきた時期もありますので、そのとき多子化であったことが、どうして今少子化に、子どもの数の減に転じているのか。その頃の多子化のときに取ってきた対策としては、待機児対策というのを少子化の対策の一丁目一番地として取り組んできたわけですので、実際は待機児が解消した二〇一九年に、同じく子どもの数も減に転じているということで、そうすると待機児対策よりも、少子化対策としてはほかに有効な策があったのではないかとか、こういった分析をいま一たびした上で、これからの財源のいろいろな配分、財源以外もいろいろな様々な資源を配分し直す前にこういった分析が必要ではないかと考えているわけですけれども、今後の少子化対策について区の見解を伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 区の出生数、御指摘のとおり平成二十八年から減少傾向、これは国と同様に歯止めがかからない状況にございます。出生数の減少、未就学児も減少に転じることで、今後コロナ禍の影響もあり子ども人口の減少による少子化のさらなる進展が懸念されるという状況です。これらの背景には、既に子育て世帯自体が少子化の影響を受けて順次減っていることもございますが、いわゆる晩婚化、晩産化の進行に加えまして、未婚の割合も上昇していること、それから住居費の上昇など、複合的な要因が影響しているものと考えられます。
待機児童解消など区の施策との関係性の分析は今後の施策の有効性、必要性を見極める上では非常に重要なものと考えてございます。持続可能な地域社会を目指す上で子ども関連施設のハード面、それから子ども・子育て支援のソフト面の両面から、妊娠期からの切れ目ない子ども・子育て支援施策の全体のより一層の充実を目指していくものとしてございます。そのことで出生数の減少に歯止めをかけるとともに、子育て世帯の定住、転入を呼び込むことにより少子化の進行は食い止めていきたいと考えてございます。
◆佐藤美樹 委員 今、御答弁に子育て世帯の定住や転入を呼び込むような政策というふうにありましたけれども、そういった時代が世田谷区はあっただけに、再びそういう少子化ではなくて、国とは逆行して多子化と言われるようなそういった世田谷にはどうしたらなるのかというのを私も引き続き検討していきたい、掘り下げたいと思うわけです。
そのためには、先ほど申し上げたように、今この財源をどのように配分していくかというところが非常に重要になってくるので、いわゆる財政の見える化という論点ですけれども、例えば横浜市では、これは昨年度からなんですけれども、横浜市財政見える化ダッシュボードという取組を始めていて、横浜市はオープンデータといったDXの文脈からのそういう政策でもあると思うんですが、こういうことをして、どこにどれだけの配分がされているかというのを一目で分かるようなビジュアル化をした上での対話、議論というようなことを始めています。当区でもそうした財政の見える化ということにこれからまた取り組んでいただきたいと考えますが、見解を伺います。
◎加賀谷 政策経営部長 財政見える化ダッシュボードですが、行政運営ごとにどのくらい予算が使われているか、またどういった事業が行われているかなど、なかなか知りたい情報にたどり着かないといった声に応えるという観点から、グラフですとか表などを効果的に活用して、より視覚的に財政状況を提供するというものです。インターネット上で提供されておりまして、経年比較、それから事業などの検索も容易になってございます。私も東京都、横浜市など様々な自治体の取組を参考とさせていただいたところでございます。
ダッシュボードをはじめとした財政状況を見える化の取組ですが、より分かりやすい財政状況の公表という区民への説明責任のほか、施策の妥当性の検証、限られた資源の再配分にも活用できるという取組と認識してございます。区を取り巻く様々な課題に対応していく上では、限りある区の資源を効果的に配分し、必要な施策を実施していくという意味でも、事業に係る予算、体制、施設など見える化により得られるデータが施策判断に資する有効なものとなるよう、活用に向けて引き続き検討してまいりたいと考えてございます。
◆佐藤美樹 委員 財政見える化ダッシュボードについては、企画総務のところで具体的にまた掘り下げたいと思います。
次に、本会議からの引き続きでグリーンインフラについても触れておきたいと思います。
本会議で個人の取り組めるグリーンインフラという観点で質問をしました。これまでグリーンインフラというと、区が手がける政策としては公園であったり道路であったり、そういった雨水対策、公園、緑化といったことがメインで取り組まれてきて、ただ、一方で世田谷区内では区民の方もすごくそういったことに関する関心が高くて、昨年度もトラストのほうで実施したグリーンインフラ学校、雨庭づくり、レインガーデンですけれども、そういったことにも非常に関心を持たれて取り組んでいる、もう既に取り組まれているというのがある中で、私は駐車場というところを一つ着目して、駐車場における緑化ということを議題にしまして、駐車場スペースを活用しての緑化。
今日は再び、データでも皆さん御覧になっていると思いますけれども、この間お見せした線状の緑化以外に、これが駐車場スペースでスリット状と言われる、本当にスリットでタマリュウが入っているものになりますけれども、こういったものも、こんな僅かなスペースですが緑化にもなっていて、かつ雨水対策にもなるということで、こういったことについての区長の見解を伺いたいと思います。
◎保坂 区長 御紹介いただいた駐車場に切り込み、スリットを入れて、雨水浸透と緑化の両方を実現するというような、それも非常に身近な各家庭で取り組めるグリーンインフラの一つだと思います。そういったやり方があるということを、所管部と一緒に私も広く区民に語りかけ伝えていき、広げていきたいと思います。
◆佐藤美樹 委員 よろしくお願いいたします。続きはまたほかの領域で行います。
以上で終わります。
○宍戸三郎 委員長 以上で、Setagayaあらたの質疑は終わりました。
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○宍戸三郎 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。
◆そのべせいや 委員 来年の今頃には新庁舎の一期棟が利用される予定ですが、新庁舎移行に合わせて庁舎だけでなく組織や働き方はアップデートできないか、また庁舎の形に合わせるのではなく、時代に応じて庁舎の使い方をアップデートしていくという視点で伺います。
まずは、デバイスやネットワークといったインフラについて確認をしていくと、先日の中間議決でモバイル型パソコンを来年度、二〇二三年度に合わせて購入することが決まりました。従来の職員用パソコンはデスクトップだったため、固定デスクでパソコンに向かうか、手帳やノート、紙資料を持って外出をするか、どちらかが区役所職員の働き方でしたが、今後は自分専用の端末を持ち運ぶことが可能となり、会議のたびに紙を用意する作業を一掃することとなります。
そして、従来有線であった庁内ネットワークへの接続について、庁内については新庁舎移行に合わせて無線LANでの接続が可能となり、庁内の無線LANに接続できる範囲では、場所にとらわれず働くことが可能となります。一方、外出先から庁内ネットワークに接続ができなければ、ネットワークに接続するためだけに物理的な出勤、出張から戻る必要があり、根本的な働き方の変革にはつながりません。庁舎から物理的に離れた場所からの庁内ネットワークへの接続への見解、またいつから可能となるか伺います。
◎菅井 DX推進担当部長 現在も各職場に数台ずつ、セキュリティーを強化した通信機能を持つ事務用モバイルパソコンを配備しておりまして、出張先などからでも安全に庁内のネットワークへ接続することが可能となっております。また、次期情報基盤の整備の中でも、令和五年一月よりモバイル型の新事務用パソコンを順次導入してまいります。また、それに加えまして、より柔軟な働き方を実現するため、自宅や出張先などの無線LANから庁内のネットワークへ安全に接続できる環境を新庁舎一期棟竣工に合わせた令和五年八月に整備していく予定でございます。
外部接続に当たりましては、通信の暗号化や遠隔データ消去などリスクに応じた技術的対策のほか、区職員のリテラシー意識を高める研修や外部専門家によるセキュリティー監査の導入など人的対策も併せて行ってまいりまして、万全のセキュリティー対策を整備してまいります。
◆そのべせいや 委員 翻って、従来は職場の椅子に座っていることこそオフィスワークが広まって以来の伝統的な仕事の作法でしたが、紙が必要なくなったこと、場所を問わずに働けるようになることで従来のインフラは見直される必要があります。例えば会議のときなどに紙が不要になったことで印刷、コピーが不要になりますが、複合機、プリンターは現状の保有台数と比較してどうなるか伺います。
◎菅井 DX推進担当部長 現在新庁舎に入る予定の部署に設置されている複合機が約六十台、事務用のモノクロプリンターが約百五台設置されております。複合機につきましては新庁舎の執務フロアーに、複合機や消耗品等を集約するマグネットスペースを整備することから、現行の台数からおよそ二十台の削減を予定しております。また、百五台の事務用モノクロプリンターにつきましては、新庁舎の各工期が竣工するタイミングで順次削減を行いまして、新庁舎の全体竣工に向けまして全ての削減を目指し、ペーパーレスを前提とした場所を問わない働き方が可能となるよう環境を整備してまいります。
◆そのべせいや 委員 ぜひ目標を一〇〇%達成してください。
また、先日の二〇二二年度第三次補正予算には固定電話の調達が含まれましたが、人にひもづいて移動することができない固定電話や内線はリモートワークや自由度の高い働き方と相性が悪く、相手方の仕事の手を止める実態的には年次の低い職員の逐一取り次いでいる内線は、直通で連絡がしやすくかつ相手方の手を止める必要もないチャットですぐに代替ができます。
一方で、くみん窓口としての電話についてはすぐに廃止をすることは現実的ではありませんが、例えば大手携帯電話会社の新プランやアマゾンは、ユーザーからの連絡窓口は原則チャットか連絡フォームのみとなっており、生活に身近な民間サービスでも既にサポートデスクや問合せがチャットに転換されていることを鑑みると、ファーストコンタクトを電話とする対応から、即時性を求めない相談連絡をする際のメールや問合せフォーム、また即時性を求めるチャットといった複数の連絡窓口体制へ切り替えられないでしょうか。
二〇二四年にはウェブサイトのリニューアルも予定がされていますが、これまでは問合せ先として各ページの下部に電話番号のみが掲載をされていましたが、ファーストコンタクトが電話になることで二度手間になるケースも多くありますので、区民の連絡しやすさや区役所の働き方の多様化に向け、ファーストコンタクトを電話からフォームやメール、チャットに分散ができないでしょうか。直接人が言葉を発する、傾聴することに意義があるいのちの電話に代表される相談機関を除き、ファイル添付や情報の流通といった点で利点のあるテキストデータでの連絡に切替え、効率化が図れないか伺います。
◎菅井 DX推進担当部長 今、委員御指摘のとおり、民間のサポートサービスにおきましては、コスト削減のために電話での問合せ、窓口を減らしまして、ウェブフォームやチャットに誘導していることが多いと認識してございます。一方、電話だとなかなか窓口につながらないなどユーザーからのクレームもよく耳にするところでございます。
区におきましても、電話以外の問合せといたしまして、せたがやコールでのお問合せフォームを設置いたしまして全ての業務の問合せに対応しているほか、資源・ごみ分別や認可保育園の入園申込みに関する問合せなどにはチャットボットを用意するなど、オンラインで対応できるようにしています。区民の方にとっては、電話をする時間がない、夜間の問合せができないなど電話問合せ以外のニーズも多くあると認識してございます。
今後もお問合せフォームのさらなる改善やチャットでの対応などに関しまして、本庁舎等整備や公式ホームページのリニューアルなどとも併せまして、関係所管と連携し検討してまいります。
◆そのべせいや 委員 電話を前提にしていくと、永遠に誰かが電話対応のために出勤したり、逆に携帯電話に転送を試みても、同時に複数の電話に着信させることができないため、電話の応対業務が個人に依存をすることとなり、電話では現代的な働き方に合わせた体制を組むことが難しくなります。オンライン時代の業務負担の平準化を鑑みても、電話以外の問合せにぜひ対応してください。
最後に、ウェブサイトのリニューアルについて二点要望します。
実はスマートフォンから電話もしづらく、iPhoneだと十桁、十一桁の数列が電話番号として自動でリンクが生成されることでワンタップで電話がかけられる一方、アンドロイドは勝手にリンクが生成しないため、コピー・アンド・ペースト、もしくは手動での番号入力が必要となります。ウェブサイト側でハイパーリンクを設定していればワンタップで電話がかけられる中、こうした細かいユーザビリティも見直してください。
また、区のイベントページについて、外部のカレンダーアプリとの連携を前提に置いてください。昨今、ホテルや飛行機にとどまらず、飲食店予約、ウェブ会議の招待といった細かい予定についても予約招待メールから自動でカレンダーアプリへ反映がされ、また明日改めて取り上げますが、民間のイベント予約サイトでもカレンダーアプリへの追加がツークリックで実現されるようになっています。細部まで時代に合わせたアップデートをぜひ研究して、ウェブサイトのリニューアルに臨んでください。
以上で質問を終えます。
○宍戸三郎 委員長 以上で都民ファーストの会の質疑は終わりました。
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○宍戸三郎 委員長 引き続きまして、国際都市せたがや、どうぞ。
◆神尾りさ 委員 交通不便地域対策について伺います。
区では現在、砧モデル地区においてデマンド型交通による実証運行を検討しておりまして、間もなく地先交渉ですとか運行事業者のプロポーザルが始まると聞いています。その結果を踏まえて、他の公共交通不便地域に関する考え方ですとか方向性を決めていくこととしています。これまで移動をするというふうになりますと、まず公共交通機関の活用というのが頭にありまして、駅やバス停に行って大勢を一度に運ぶ乗り物に乗って移動するということがどうしても先入観にあると思います。しかし、もしかしたら、数年後には自宅から目的地まで好きな時間に好きな場所まで、デマンド型のアプリを使って小型の乗り物で効率的に移動するというような社会になっているかもしれません。今がそういったデマンド型交通社会への過渡期であるということを踏まえて、制度設計や検証をする必要があると考えています。
今回の砧モデルでは、ミーティングポイントと呼ばれる乗降地点を数多く設置予定であることや、高齢者が無理なく利用できるように、アプリや専用サイトからの予約のみならず電話受付も可能とするなど、利用者が無理なくデマンド型に移行できるように工夫されているなと思うんですけれども、まずはどういった結果をもって成功、失敗の判断基準とするのか伺います。
◎青木 道路・交通計画部長 砧モデル地区では既存のコミュニティバス路線で活用されている小型のバス車両すら通行できない狭隘な道路が多いため、ワゴン車両を活用したコミュニティー交通の導入に向け検討を進めてまいりました。ワゴン車両では乗車人員が限られるため採算性の確保が難しく、運行経費の公費負担を考慮しなければならない状況となっております。このため砧モデル地区における実証運行では、運行形態をデマンド型交通とすることとし、利用促進に向けた取組といたしまして、地域コミュニティーの核となる施設等に乗降地点を設けまして移動環境の向上を図ってまいります。
また、実証運行では、乗車人数や収支率のみならず、高齢者の外出促進の実態把握等に努めるとともに、区民、運行事業者、区の三者で運行開始後の目標数値を掲げまして目標を共有し、検証を行うこととしております。実証運行の開始後、おおむね十か月程度を目安に乗車人数などの実績を踏まえ、目標数値を確認し、状況に応じた改善策を検討してまいります。
◆神尾りさ 委員 乗車人数や収支率、それから高齢者の外出促進の実態などを把握して判断するということですけれども、今回、事前に需要予測アンケートというのを行っていまして、その結果と実際の運行状況というのを比較検証しながら今後の交通対策を検討していかなければならないと思います。その一方で、区全体の交通政策というのも考えながら、可能な限り迅速に他地域の交通対策についても進めていかなければなりません。将来的には、高齢者のみならず、例えば子育て世帯や障害がある方などにも利便性が高く、安価な交通というのを提供できれば、その地域の人口や世帯構成を変えることにもつながっていくかもしれません。今回の検証というのはそれくらい重要なファーストステップであると考えます。
そういった構想を持ちながら、今回の砧の実証と並行して他地域についても検討を進めていく必要があると考えますが、どのように進めていこうとしているのか伺います。